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ブラック企業リストに覚えた新たな怒り

違う意味での新たな“犠牲者”を生み出す危険が

2017年5月16日(火)

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 いわゆる“ブラック企業”が、ついに公開された。

 先週の水曜日(5月10日)、労働基準法令に違反したとしてこの半年間に書類送検した全国334件の社名を、厚労省がHPに掲載したのだ(こちら)。

 厚労省の担当者によれば、

 「昨年末に発表した『過労死等ゼロ』緊急対策の一環で、一覧表にすることで社会に警鐘を鳴らす狙いがある」

 のだと言う。

 「おお、遂に!」と、早速一覧表を見た瞬間……
 「こ、これは……、だ、大丈夫なのだろうか?」と戸惑った。

 334件の中には、高橋まつりさんが過労自殺した「電通」の社名もあったが、明らかに「下請け」と思しき企業名がわんさか載っているではないか! というかおそらくほとんどが、体力のない下請け企業であることは間違いない。HPが存在しない企業も多く、愛知、大阪、福岡などに集中しているのも気になった。

 つまり、

 「発注元はどこ? 買いたたかれて無理したのでは?? 支払いされてる??? ここに掲載されたことがきっかけで、つぶれちゃう企業もあるのでは????」

 と、心配になってしまったのである。

新たな犠牲者が生まれる構造

 もちろんいかなる理由であれ、違法は違法だ。

 賃金はきちんと払わなきゃだし、労働者の安全対策を徹底しなきゃだし、違法な長時間労働はもってのほか。外国人技能実習生だろうとなんだろうと、最低賃金の原則はきちんと守らなくてはならない。

 だが、どうも釈然としないのです。もっと構造的な問題まで切り込まないと。これでは末端の業者叩きでしかなく、違う意味での新たな“犠牲者”を生み出すことになりかねない。

 そこで、今回は「下請けの今」についてアレコレ考えてみようと思う。

 数年前、ある団体の講演会に呼ばれ、その後の懇親会に参加したときのこと。
 「○○(某商品名)をご存知ですか?」と、名刺交換にいらした方に聞かれたことがあった。

 「はい、知ってますよ!」と答えると、
 「アレ、うちの会社でつくっているんですよ」と。

 「ああ、そうなんですか~。▲△(某企業)が作ってるんじゃないんですね?」と聞いたところ、「開発は下請けがやっているんです」と笑顔で答え、以下のような話をしてくれた。

 「最初の頃は結構、良かったんです。単価は決して高くありませんでしたけど、うちの会社の他の製品も買ってくれるという条件だった。それに大企業さんが、ウチみたいな小さな会社に頭下げて『開発をお願いしたい』なんていうわけですから、そりゃあうれしいですよね」

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「ブラック企業リストに覚えた新たな怒り」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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