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長時間残業放置の俺サマ社長は殺人未遂で問え!

知っていますか? 欠勤・休職よりもっと怖い「プレゼンティズム」

2016年5月24日(火)

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 今回は最近気になっていたことについて、アレコレ考えてみる。

 テーマは、「トップの差」。

 日本経済新聞電子版で、「日本人の残業、元凶は『家に帰りたくない』人たち」(日経ビジネス5月16日号の再構成版)という、ちょっとばかり切ないタイトルの記事が報じられた翌日、ショッキングなニュースがNHKで流れた。

 なんと「過労死ライン」と呼ばれる月80時間を超えて残業をした従業員がいる企業は、全体の2割強に上り、なかでも従業員が1000人以上の企業では6割近くに上っていることが、厚生労働省の調査で明らかになったのである。

 業種別では、情報通信業が44.4%と最も割合が高く、次いで、学術研究、専門・技術サービス業が40.5%、運輸業、郵便業が38.4%。

 また、従業員に対する調査では…

●残業が長い人ほど、メンタル不調者が多い
●残業が長い人ほど、「精神障害の発症・悪化の不安がある」と回答(15.5%)
●残業が長い人ほど、蓄積疲労度が高い

など、長時間労働の“心身を蝕む力”が、改めて確認されたのだ。

 「KAROSHI」が海外で使われる不名誉な“英語”になってから、30年。 今なお「2割超」もの企業が“どうどう”と過労死ライン超えを許しているとはどういうことか。ネットでは「死者が残業代欲しがるか?」と真っ当なコメントが拡散していたけど、調査で明らかになった現状はやはり異常だ。

 日経新聞では、残業を「生産性」から論じ、厚労省の調査では、残業の問題を「健康面」から示した。

 どちらも極めて大事なことだ。

 だが、なんだかとんでもなくやるせない気持ちになった。なぜなら、この2つの記事が、今後さらに広がっていくであろう“企業間格差”を、「残業」というキーワードで、ものの見事に白日の下にさらしたのだ。

残業削減の試み、話を聞くだけで楽しい!

 「残業削減」に努めている企業には、「それをやろう」という強い思いを持つトップがいる。

 午後5時25分に、故・坂本九氏の「明日があるさ」で終業時刻を知らせて帰宅を促すりそなホールディングス、ノー残業デーの日には、午後6時に本社ビルを消灯する味の素、残業を減らせばそれだけ多くボーナスがもらえる大手システム開発会社のSCSK、残業しそうになった社員が周囲の社員に助けを求める「12時ツイート」を実施している電子部品商社のNTW Inc.、残業禁止日には社員に退社時刻を示すマントを着させるセントワークス、残業した社員には徹底した反省会とリポート提出を義務付けた元トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長で、元祖・残業削減のプロ、吉越浩一郎氏……。

 これらはすべて、「残業をなくす意味」を見いだしたトップのいる企業だけがなし得るワザ。

 こうした取り組みは記事を読むだけで、会社の活気とトップの温かさが伝わってきてワクワクする。トップの「何がなんでもやるぞ!」という心意気が、滑稽なまでに伝わってくるのである。

 吉越さんの心のボルテージは、笑ってしまうほど、「すごい!」。

 禁止されている残業をやるわけだから、社員に反省会やレポートを義務づけるのはわかる。違反は違反だし。

 でも、内容に大した問題がなくても、何度でも突き返す。たとえ業務に支障が出ようとも、関係ない。何よりも、レポートを最優先した。

 そんな吉越さんに、「理不尽な仕組みだ」「社長はおかしい」と怒り出す者もいたそうだ。

 まぁ、怒るでしょうね。「なんでやねん!」と。社員たちの憮然とした表情と吉越さんのドヤ顔が、目に浮かんで面白すぎる。まるでコントだ。

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「長時間残業放置の俺サマ社長は殺人未遂で問え!」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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