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「今日、誰とも話してない……」 40代を襲う病魔の先にあるモノ

あなたやあなたの親が病気になったら

2015年6月30日(火)

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 誰だって、健康でいたい。

 だが、食べ物に気をつけ、適度な運動をし、健康的な生活をしていても、病魔に侵されることはある。病気になるリスクを、ゼロにするのは不可能だ。

 しかも、その“変化”は、皮肉にも元気であればあるほど突然に訪れる。

 ある日を境に、満足に仕事ができなくなり、時短勤務でしか働けなくなり、長期療養が必要となり、最悪の場合、退職に追い込まれる。

 と、何だかちょっとばかり重い出だしになってしまったが、今回はそんな健康不安と切ない気持ちが入り乱れた話からスタートします。

 テーマは、20年、いや15年後の「私たちの問題」とでも言っておこう。

 今から2年前、駅の構内に座り込んでいた73歳の男性が保護された。ホームレスの“見回り隊”に声をかけられた男性は、自分の状況を十分に説明することができず、

 「認知症が進んでいる」――と判断されたのだ。

 その後の調査で、
・男性が40年もの間、調理師として働いていたこと
・月収は、25万円程度だったこと
・ぜいたくはできないけど、それなりの不自由のない生活を送っていたこと
などが分かった。

 そんな彼がなぜ、ホームレスになったのか?

 きっかけは、身体を壊し退職を余儀なくされたことだった。

 仕事を辞めた後、男性はコツコツと貯めてきた預金でアパートを借り、単身で生活をしていたという。

 そんなある日、“事件”が起こる。なんと、天井からポタポタと、水が滴り落ちてきたのである。

 驚いた男性はバケツを置き、なんとかしのぐ。それを相談できる家族も、友人もいなかった男性は、どうすることもできずにそのまま放置した。

 男性はその頃から認知症の症状が出ていたと考えられ、部屋には荷物や食べ物が散乱。半年後には、何もかも水浸しになり、生活ができなくなった。そこで男性は部屋を出て、ビジネスホテルを転々とする暮らしを始めたのである。

 そして、ホテル生活を始めてから2週間ほどたった頃。男性は再び病魔に襲われる。

 持病の心臓の病気が悪化し、救急車で病院に運ばれたのだ。幸い大事には至らず退院したものの、直後に男性は銀行の通帳と現金が入ったカバンを紛失。40年貯め続けた全財産を失い、一文無しになってしまったのだ。

 帰る家も、生活するお金も、頼れる友人も、家族もいなかった男性は、たった一人で、そうたった一人で街をさまよい続け、2カ月後、駅の構内の片隅で、うずくまっているところを保護されたというわけ。

 ―――。

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「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「「今日、誰とも話してない……」 40代を襲う病魔の先にあるモノ」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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