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大炎上“バニラエア車椅子事件”の大いなる誤解

ありえない搭乗拒否はなぜ起きた?

2017年7月4日(火)

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 今回は「現場の力の生かし方」について考えてみる。

 というのも、「なんで、あんなことになってしまったのか」と、なんとも後味の悪い気分になっているからだ。

 かなり話題になったので、みなさんご存知だとは思いますが、朝日新聞が「車いすの人に階段タラップ自力で上らせる バニラ・エア奄美空港」との見出しで報じた(28日)、車椅子の利用客への対応をめぐる問題である(こちら)。

 今年なってから米国のユナイテッド航空(UA)など、航空会社の「乗客差別」とも受け止められかねない問題が立て続けに起こっていただけに、「なんだよ!日本もかよ」といわんばかりにバニラ・エアが大炎上。ところが自力でタラップを登ることになった男性(バリアフリー研究所代表、木島英登さん)が、「車椅子利用の事前連絡」を故意に怠っていたとわかってからは、木島さんへの大バッシングも始まった。

 バニラ・エアが謝罪と対応策の発表でトラブルに迅速に動いたのに対し、木島さんが2002年にも同様のトラブルに遭遇していたことがネットで話題になり、風当りはさらに強まった。

 ただ、木島さんのブログを読むと、メディアから伝わるニュアンスと若干異なるのですよ、これが……。

まず論点を整理してみよう

 論点を整理すると…(以下、ブログより河合が一部を要約し抜粋、元記事はこちら)。

  • 6月3日(土) 関空-奄美 バニラ・エアのチェックインカウンターで「歩けないと乗れません」と拒否されるが、「同行者の手伝いのもと乗降する」と説得し承諾を得る。
  • 6月5日(月)奄美-関空 バニラ・エアのチェックインカウンターで「空港の車椅子に乗り替えて欲しい」と言われるが、同行者が担ぎやすいことから「自分のを使いたい」と返答。15分ほど待たされた後「同行者のサポートで階段昇降をできるなら」との条件で搭乗が認められる。
  • 搭乗タラップで、同行者が車椅子を持ちあげて乗ろうとしたところ、係員に静止される。仕方ないので、階段に座って一段一段、這って登ろうとすると、再び「ダメ」と静止。
  • 乗らないことには大阪に帰れないので、同行者に足首をもち上げてもらい、上がっていくと、途中でキャビンアテンダントが手伝おうと駆け下りてくる。
  • 飛行機のドア前で機内用車椅子が準備され、座席へと移動。大阪へ戻ることができた。
  • 設備がないなら、できる範囲でお手伝いしてくれればいい。同乗者の手伝いで乗るのも認めないのは、ひどい。
  • 奄美空港にはJALが鹿児島線を運行しており、こちらも階段のみだが、歩けない人でも乗れる(手伝ってくれる)。
  • いっそのこと航空券の購入時に「この飛行機は階段昇降が出来ない人は乗れません」と書いてくれれば、余計なもめ事はなくなる。
  • 記事公開後、「事前連絡しないのが悪い」と批判されたが、事前連絡したら設備がないことを理由に断られていた。実際に断られた方もいる。
  • JRや新幹線でも以前は、2日前までに事前連絡しないとダメで、家族の訃報や突然の移動にも、事前連絡がないからという理由で利用できなかった。
  • 車椅子で世界158国を訪問。200以上の空港を利用した。障害者用の設備のないところはたくさんあるが、それでも、どんな小さい飛行機でも乗れなかったことはない。
  • 階段を腕ではって上るのは、屈辱的ではない。上らされたのではなく「勝手に上った」。航空会社へのあてつけでも、パフォーマンスでもなく、私ができる階段を昇降する手段。
  • 海外では高速バスを乗るときなど、座席まで這って移動している。
  • * * * * *

     つまり、新聞やテレビで報じられた内容から受ける印象とは異なり、バニラ・エアが「自力で上らせた」わけではなかったのである。

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「大炎上“バニラエア車椅子事件”の大いなる誤解」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長