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義務的に仕事してるあなたには「○○力」がない

結果出しても、義務感でやる仕事の主語は「自分」ではなく「他者」だ

2016年7月12日(火)

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「上司から、『キミは義務感だけで仕事をしてる』って。言われたときは意味がわからなかった。いいじゃん、義務感持って、ちゃんと仕事してるからって。でも、今日、講演を聴いて気がつきました。僕には“意志力”がなかった。目から鱗でした!」

 先日、若手社員向けに行った講演会に参加した30歳の男性社員から、こんなメールが届いた。

 意志力(Grit)――。

 これは「自分がなりたいもの」や「自分がやりたい仕事」ではなく、「自分がどうありたいか?」「自分がどういう価値観の下で自身のキャリアを形成するか?」といった仕事上の、いや人生上の価値観や信念のこと。

「“意志力”を明確にできれば、Grit(=意志力)の翻訳どおり、気骨、不屈の精神、前向きな力を持って、仕事に取り組むことができる。意志力は、心のエンジン」

 私が講演会で、こんな具合に意志力の大切さを話していたので、「目から鱗」メールを送ってくれたのだ。

「義務感だけで仕事をしている」という批判の意味

 義務感だけで仕事をする、か……。

 ふむ、これってどういうことなのだろう。

 言われたことしかできない? 自発的に動けない? 多くの上司たちが部下に対して抱えるこういった不満を意味しているのか?

 それとも、ただ単に「情熱のかけらもなく、淡々と仕事する」ことに、上司は物足りなさを感じていたのか。

 あるいは、よくお店のレジで、おばあさんがお財布から小銭が上手く出せないときに、「ゆっくりで大丈夫ですよ~」とか、「その500円玉で足りますよ~」とか、一声かけてくれるだけでもいいのに、ただただボ~ッと動きを止めるだけで、肌のぬくもりが微塵も感じられない機械的な働き方のことなのか。

 実際の彼の働きぶりは想像するしかない。だが、誤解をおそれずに率直に言わせていただくと、義務感だけで仕事ができるなんて、ちょっとばかりうらやましかったりもする。

 個人事業主のフリーランスがそれをやったら、食べていけなくなる。「アンタじゃなくても、別にいいよ」と言われるのがオチ。

 もちろんそれは未熟な私レベルの話で、「○○さんしかいない」という社会的地位を確立したフリーの方には当てはまらないのかもしれないけれど。

 いずれにせよ、「働く」という行為が何かとネガティブに捉えられる、ざらついたご時世で、彼に「意志力」が刺さったのがうれしかった。

 しかも、意志力の欠如が「義務感だけで仕事をする」ことだったとは! 私も目から鱗が5枚ほど落ちた。

 なんせ、「意志力を明確にすることの重要性」は散々、訴えてきたし、研究も積み重ねてきたが、「意志力の欠損」に関しては、なおざりだったから。

 おまけに彼のメールには、彼が行ったちょっとした調査結果も書かれていて。それが実に興味深く、是非ともみなさんにご紹介したいと思った次第だ。

 というわけで、今回はこの男性の知見をベースに、「意志力」をアレコレ考えます。

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「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「義務的に仕事してるあなたには「○○力」がない」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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