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「東芝だけじゃない!」 ノーと言えない部下と無能な上司の因果応報

「不適切会計問題」はどうすれば防げたか

2015年7月28日(火)

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 「ノーと言えない組織風土って……。フツー言えないだろ?」
 「だよなぁ。所詮、サラリーマンだし」
 「会議とかで意見求められたときなんて、思わず死んだフリ(笑)」
 「言うだけ損ってか?」
 「ハハハハ」――(一同悲しい笑い)。

 例の東芝“不適切会計問題”に関する報告書は、ついこんなシーンを思い描かせる内容だった。

 え? 「そこじゃないだろ! 注目すべきところが。ガバナンスが◎△※●××~~〜〜〜」って?

 はい。そうかもしれません。会計処理やら監査やらに詳しい方たちには、叱られてしまうかもしれません。が、所詮、餅は餅屋。

 世の中で生じる問題の9割は、人のココロが影響すると確信している私には、

 「コレじゃダメだ! どうにかしろ!」と厳しく迫る上司と、
 「………」と口をギュッとへの字にして貝になる部下。

 で、その部下が自分の部署に戻り、
 「コレじゃダメだ! どうにかしろ!」と自分の部下に迫り、
 「……わ、わかりました」と眉間にシワを寄せる部下。

 そんなどこの会社にもある風景が、300ページ近い第三者委員会の報告書を読んでいて、浮かんでしまったのである。

 人は権力の階段を上るにつれ、自分に甘く他人に厳しくなる。

 “権力者”は自分がいつも中心になるから、人の話を聞かなくなる。相手の意見を聞いちゃいないから、自分の欲求の押し付けを、ちっとも悪いと思わない。

 一方、「権力がある」と見なされている上司に、すり寄る部下はいるし、どんなにいい人であっても、権力のない上司は、無能とみなされがち。

 権力にマイナスのイメージがあるにもかかわらず、人は権力を好む。人は権力を嫌うくせに、権力に群がる。

 その結果、「残り3日間で120億円の営業利益の改善をせよ!」なんて真っ黒な要求がまかり通り、「そんなことあり得ないでしょ?」ってことが平気で起こるのである。

 「単なる組織論ではなく、どうやって魂を入れた経営をしていくべきか、我々もちょっと気を許したら同じ問題に陥るであろう。自身も戒めていきたい」

 経済同友会の小林喜光代表幹事は日本記者クラブの会見で、こう語っていたけど、

 「どんなに魂を入れたところで、上司部下の関係が変わらなければ、同じ問題に陥るであろう。みなさま、どうか戒めてください。明日は我が身――」だ。

 そもそも、“魂”ってナニ? って感じだが、いずれにしてもチャンレジという名の数値目標も、ひとつの業務に長年従事するといった異動のない人事ローテーションも、魂という名の精神論だけで、解決できるものでもなければ、東芝が特殊というわけでもない。

コメント8

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「「東芝だけじゃない!」 ノーと言えない部下と無能な上司の因果応報」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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