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「“人参”で子どもを走らせた大阪」と成果主義中毒が追う幻影

報酬はプレッシャーに変わる

2015年9月1日(火)

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 子どもの世界は、おとな社会の縮図――。よく言われることだが、子どもから学ぶことって実に多い。純粋な正直さが人間の本質を残酷なまでに映し出し、オトナたちが忘れかけている、“力”を思い出させてくれるのだ。

 っと、ちょいとばかり大袈裟な書き出しとなってしまったが、今回は「だよね!」っと至極納得させられた、「子どもたちの成果」を取り上げようと思う。

 「内申点に反映されるので、子どもが本気で取り組んだのだろう。やればできることがはっきりした」

 こう満足げに語るのは大阪府の松井一郎知事。先日公表された全国学力・学習状況調査の結果を受けてのコメントである。

 今年4月に実施された学力テストで、大阪府は大躍進。2007年度以来、全国平均を2ポイント以上下回っていた屈辱を晴らし、数学(A ・B)では全国水準に肩を並べ、最も差の大きかった国語Aでも1.4ポイント差まで縮めたのだ。

 大阪府といえば、テスト結果の公表を巡り「クソ教育委員会」(by橋下徹府知事、当時)と暴言を吐いたり、「このざまは何だ!」(同)と罵声をあびせたり。遂には、「教育非常事態宣言」を出し、学校教育に介入したりと、すったもんだがあった場所。

 で、今回。念願叶って「このざま」から大躍進! 橋下さんの弟分、松井知事は「ほら見たことか!」と言わんばかりに、鼻息をガンガンに荒くしたのである。

 「でも、それって……例の内申点うんぬんてやつでしょ?」
 はい、そうです。

 なんと大阪府教育委員会は、今年度の学力テストが実施されるわずか11日前に、「中学の成績を来春の高校入試の内申点に反映させる!」と、突如発表。あわてた現場の先生たちは急遽過去の問題などを子どもたちに配布したり、「最後まで諦めるな!」と尻を叩いたり……。子どもたちが入試で不利にならないようにと、ギリギリまで事前準備に取り組んだのだ。

 いずれにしても、「人参=内申点」をぶらさげられた子どもたちは、オトナたちの期待どおりのタイムを出した。「報酬」という外的要因が、パフォーマンス向上につながることを、子どもたちは証明したのである。

 いや、違う。全然、違う! オトナたちが勝手に、「やっぱり人間って報酬次第なんだよなぁ~」と、実に勝手に“たまたま”子どもたちが出してくれた結果を、
   「やっぱ、カネっしょ! 結果出したきゃ、人参ぶらさげなきゃ!」と解釈し、
 「カネがすべて! 結果がすべて、やればできる!」と大喜びしたのである。

 フ~っ………。(なぜかため息)

コメント18

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「「“人参”で子どもを走らせた大阪」と成果主義中毒が追う幻影」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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