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電通社長出廷で考えた「責任と責任」

経営者と従業員、両方が果たして仕事は回る

2017年9月26日(火)

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(写真:朝日新聞社)

 今回は「責任と責任」について考えてみる。
 ん? 「責任と義務」の間違いでは??

 いいえ、これでいいのです。と、ちっとも答えになっていないのだが、とにかく書き進めます。

 先週の金曜日(9月22日)、電通の山本敏博社長が東京簡易裁判所に出廷した。

 罪状は「労働基準法違反」。2015年12月に過労自殺した新入社員の高橋まつりさん(当時24歳)らに違法な残業をさせた、「違法残業事件」である。

 スーツ姿で入廷した山本社長は、高橋まつりさんのお母様に向かって深く一礼し、緊張した面持ちで証言台に立った。

 検察側の冒頭陳述によれば「36協定」の上限を超える残業をした社員毎月1400人前後(2014年度)。東京オリンピック・パラリンピック関連業務を担当する機会を失わないために、36協定の上限時間を最大75時間から100時間に引き上げ、形式的に違反の解消を図るなど、極めて悪質だった。

 最終意見陳述で山本社長は、「社長として重大な責任を感じている」と謝罪。
 「当社の最大の誤りは、『仕事に時間をかけることがサービス品質の向上につながる』という思い込みを前提にしたまま、業務時間の管理に取り組んでいたことにあると考えております」  と反省の弁を述べた。(以上のソースは朝日新聞のこちらこちら

 この“事件”の経緯をおさらいしておく。

 起訴状によると、電通は2015年10~12月、高橋さんら社員4人に対し、労使間協定で定めた1カ月の残業時間の上限を最大で約19時間超えて働かせたとし、法人としての電通と当時の上司の部長を書類送検。上司らは不起訴処分にされる一方で、法人としての電通は労働基準法違反罪で略式起訴となった。

 しかし、東京簡裁には電通社員の出退記録など大量の証拠が押収されており、書面の審理だけでは不十分と判断。そこで今回の公開裁判となったのである。

法人の“顔”としての社長の出廷

 今回、“法人”という無責任な集合体に責任を科すだけではなく、山本社長というひとりの人間の出廷により「法人の顔」が明らかになったのは画期的だと思う。と同時に、なぜ、もっと早く今回のような裁判を行なわなかったのかが悔やまれてならない。

「いくら謝罪を受けても事実は消えない。娘が戻ってこないむなしさがある」

 閉廷後の記者会見で高橋まつりさんのお母さんがこうコメントしたとおり、まつりさんは帰ってこないし、同社では何人もの命が失われている。

・1991年に、電通に入社して2年目の男性社員(当時24歳)が、自宅で自殺。男性社員の1か月あたりの残業時間は147時間を超え、上司からのパワハラもあり、遺族が会社に損害賠償請求を起こした。裁判は遺族に1億6800万円の賠償金を支払うことで結審。

・2013年には、当時30歳で病死した男性社員についても、長時間労働が原因の過労死として労災が認定された。

 法人の代表として、社長が裁判所に顔を見せるまでの26年間、トップにいた方たちは、この死をどう考えていたのか。

コメント50件コメント/レビュー

資源の少ない日本に生まれた日本人はモーレツに働く、だから世界で勝負できるという昔懐かしいワークスタイル・価値観に凝り固まったオヤジが企業のトップにいる悲しさ。
ハードワークだけではどれだけ創造力を発揮できるのか。(2017/10/06 17:48)

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「電通社長出廷で考えた「責任と責任」」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

資源の少ない日本に生まれた日本人はモーレツに働く、だから世界で勝負できるという昔懐かしいワークスタイル・価値観に凝り固まったオヤジが企業のトップにいる悲しさ。
ハードワークだけではどれだけ創造力を発揮できるのか。(2017/10/06 17:48)

>パワハラなど主観的で判断ができないもの

ハラスメントは主観的で判断が出来ないものではなく明確な犯罪行為である、という認識が根付いていないことがまつりさんの悲劇を生んだ原因であるとよく分かるコメントですね。これは高橋さんに対するセカンドレイプでは?(2017/10/02 17:41)

「一定の補償による解雇と再就職のための雇用の流動化が一つの答えです。」
考え方には同意しますが、「一定の補償」のレベルをどこに置くか今の経済界(と政権)に任せられますか?司法もあてにできませんし。(2017/09/29 20:19)

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