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えっ、NHKは自社の過労死は沈黙したのか!

「いい仕事をしたい」高揚感があなたを追い詰める

2017年10月10日(火)

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 今回は「○○を追いつめる高揚感」について考えてみる。

 先週、NHKの記者だった女性(31歳)が4年前の2013年7月に、心不全で亡くなっていたことがわかった。原因は長時間労働による過労死。亡くなった翌年、労災認定された。

 亡くなる直前の1カ月間の時間外労働は159時間37分。5月下旬からの1カ月間も146時間57分。また、亡くなる直前には都議選と参院選の取材で、「深夜に及ぶ業務や十分な休日の確保もできない状況」で、「相当の疲労の蓄積、恒常的な睡眠不足の状態であったことが推測」されたそうだ(渋谷労働基準監督署による)。

 亡くなったのは参院選の投開票から3日後の7月24日。同月末に横浜放送局への異動が決まっていたことから、前日の23日は勤務終了後に送別会に参加。翌24日未明に都内の自宅に帰宅したあと倒れたとみられる。

 「忙しいしストレスもたまるし、1日に1回は仕事を辞めたいと思うんだけど踏ん張りどころだね」――。

 泣き言や弱音をめったに吐かない彼女から、両親に心配なメールが届いたのはひと月前。

 「明るくいつも笑顔。ヒマワリの花のような子。亡くなった時、携帯を握ったままだったのは、何かメールしようとしていたのかもしれない」

 朝日新聞の取材に母親は悔しさを滲ませた。

 いったい何人の命を奪えば、この国の人たちは「過労死・過労自殺」と正面から向き合い、この“異常”を異常なこととして受け止めるのか。

ご両親は最初は公表を望まなかった

 そもそも今回、3年以上前のことが報じられた理由も、NHK側の対応のずさんさにある。

 昨年までは命日にNHK幹部が弔問に訪れていたが、今年は連絡はなし。電通の過労自殺事件はNHKはかなりの時間を使い報じてきたが、NHK内部で起きたことは公表しなかった。
 そればかりか局内にも知らされていなかった。

 ご家族は当初、公表を望んでいなかった。NHKの幹部からお嬢さんの死後、長時間労働対策を進めていると説明されてきたそうだ。

 しかし、お嬢さんの元同僚から、今夏から対策は始まったものの、そのきっかけとなったのがお嬢さんの過労死にあることは職員に周知されていないと知らされた。

 そこで「娘の死を風化させたくない」との思いで、命日の7月以降、局内でお嬢さんの死の“事実”の周知、自発的な対外公表を要望。そして、やっと。ホントにやっと4日の夜「ニュースウオッチ9」で、マイクを握る彼女の写真が画面に映し出された。

 番組では、

 「二度と同じようなことを起こさないという決意を組織内で共有し、改革の徹底を図るため、全職員に伝え、外部に公表することが必要だと判断した」

 と説明、

 「このことをきっかけに記者の勤務制度を見直すなど働き方改革に取り組んでおり、職員の健康確保の徹底をさらに進めて参ります」

 とコメントした。

……先々週、私は「現電通社長の山本敏博氏が公開の法廷の場に立った」という事実が、日本中のトップの意識改革に繋がればいいと、心から願うばかりだ」と書いた(こちら)。

 そして、「法人の代表として、社長が裁判所に顔を見せるまでの26年間(1991年の過労自殺事件から)、トップにいた方たちは、この死をどう考えていたのか」と。

 この言葉をまんまNHKのトップに聞きたい。

コメント52件コメント/レビュー

過労死にしても高齢化にしても、あるいは少子化にしてもこの国の本質的課題は「時間=寿命」という意識の啓発をしないことにあります。長い間「長寿国」として評価されてきたけど実際には無駄に命を削り時間を浪費している民族であることに気付くべきです。なぞそなるのか?それは横並び集団主義だからです。人より頭一つ抜け出すと叩かれるこの国の風土です。周りをみると中高生でも大人より優れたプログラマーがいっぱいいます。こういう子たちを早く活躍できるようにすればいいんです。大学でないと優秀じゃないとか一括採用とかやるから22歳まで時間を浪費するんです。その癖が付いているから就職してからも時間を浪費する。実力を身に着けていないから長時間労働になっていまう。もっとこの国は「時間=寿命」の大切さについて考えるべきです(2017/10/16 12:46)

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「えっ、NHKは自社の過労死は沈黙したのか!」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

過労死にしても高齢化にしても、あるいは少子化にしてもこの国の本質的課題は「時間=寿命」という意識の啓発をしないことにあります。長い間「長寿国」として評価されてきたけど実際には無駄に命を削り時間を浪費している民族であることに気付くべきです。なぞそなるのか?それは横並び集団主義だからです。人より頭一つ抜け出すと叩かれるこの国の風土です。周りをみると中高生でも大人より優れたプログラマーがいっぱいいます。こういう子たちを早く活躍できるようにすればいいんです。大学でないと優秀じゃないとか一括採用とかやるから22歳まで時間を浪費するんです。その癖が付いているから就職してからも時間を浪費する。実力を身に着けていないから長時間労働になっていまう。もっとこの国は「時間=寿命」の大切さについて考えるべきです(2017/10/16 12:46)

NHKのトップは、生え抜きでは無くて外部から登用されています。ですから、職員の一人一人を良く知らないのではないでしょうか?また、ここでも組織の責任者があいまいで、職員の働きかた、労働時間を把握し管理できていなかったのではと思います。過労の問題も大きいですが、先日の新聞で40代男性が自殺者数のトップとの記事がありました。ここで労働問題に詳しい河合様にお聞きしたいのですが、諸外国では過労の問題は取り上げられることはあるのでしょうか?日本固有の日本的な問題なのでしょうか?私が新入社員だった時、上司は「会社の誰よりも100円でも多く儲けることが大事だ」と説教されました。ドロップアウトすることの強迫観念、日本的な「場」に合わせる風土、このような状況から耐え切れなくなる人が多いということなのでしょうか?
有給休暇を満足に消化できない日本で、何が足りないのでしょうか?(2017/10/14 22:55)

第三の権力だとか、第四の権力だなんて誰が言い始めたのか知りませんが、ばかばかしいと思います。
マスコミはニュースを売っているだけです。売れるニュースなら、昨日と全く違うことだって平気で垂れ流すはずです。自分のことを棚に上げるなんて、そんなことに何の痛痒も感じていないに違いありません。
NHKは少し違うんじゃないかと信じていたのですがガッカリです。

長時間労働については、「好きで仕事をして、それで死んで何が悪い」というようなメンタリティーが無くならない限り解決しないと思います。何世代かかかるでしょう。これは企業の責任だけではないです。労働者自身が同じ労働者に対して、死ぬまで働け、と言っていると私は思います。
あるいは、こういうアナクロな、爆弾三勇士的メンタリティーは日本人が全員過労死で死に絶えるまで、永遠に亡くならないのかもしれません。

なお私の知っている別の国では、労働基準法違反の時間外労働については、上司に罰金が科せられます。会社じゃありません。直属の上司の個人的な責任を問われます。
これは面白いと思いました。日本でも罰金の額は変えなくてもいいから、科す相手を変えてみたらどうでしょうね?

また、裁判所が「ブラック企業との風評が生まれる」と言ったという話は笑えました。
そもそもブラック企業などというものが存在するのは労働基準監督署が機能していないからで、パワハラ、セクハラなどというのは裁判所が機能していないからです。
日本だけじゃないでしょうか、社員が死ぬまで労働基準監督署が何もしないとか、パワハラ・セクハラで被害者が裁判所に駆け込まないというのは。(2017/10/14 13:35)

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三品 和広 神戸大学教授