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切迫感に欠ける日本のデジタル技術活用

デジタル・トランスフォーメーションで今の経営課題に向かおう

2016年6月20日(月)

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 久しぶりに、西海岸に出張してきている。サンフランシスコでの会議の合間に、シリコンバレーにも寄る予定なのだが、土地柄もあって、会議の中でデジタル・トランスフォーメーションの話になることが多い。

 デジタル・トランスフォーメーション、すなわち、AIやデータ・アナリティクス、あるいはIoTを含むさまざまなデジタル技術の進化・変化を活用しきれるように、企業全体を変革する。これが現在の経営者にとって、喫緊の課題であり、それを具体的なプログラムとして進めていく、という話なのだが、どうも日本で同様の話をしているのとは、かなり中味が違うのだ。

 日本の企業をひとからげにするわけにはいかないし、欧米発の企業の中でもばらつきは大きいのだが、あえて分かりやすくするために、日本型の典型例と欧米型の先進例を比較してみると、以下のような違いがある。

1 時間軸
日本型「数年先を睨んで、勉強し試してみる」
欧米型「数年先から逆算して、今から変革を始める」

2 取り組みの理由
日本型「デジタル系の異業種競合や同業の先進企業に席巻されるリスクへの“守り”」
欧米型「まず、既にある課題をデジタルで解決。そこからのキャッシュを積み重ねて投資原資とし、デジタル時代に高い競争力を持つための“攻め”」

3 担当部門
日本型「経営企画、コーポレート・ベンチャーキャピタル、あるいは研究所・開発部門」
欧米型「トップ直轄のPMO(プログラム・マネジメント・オフィス)を置いた上で、全社全部門」

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 ここ1年ほど、日本の経営層の間でも、デジタルインパクトへの感度は高まってきている。「セカンドマシンエイジ」、「限界費用ゼロ社会」、「ポストヒューマン誕生」など、欧米の経営者の間でも大きな話題になった書物は、多くの方が既に読んでおられる。フィンテック分野でのメガバンクの動きが良い例だが、シリコンバレーに橋頭保を築き、ベンチャー投資を行うケースも増えてきた。

 時代が大きく変わりそうな予感を持ち、それに備えようとしているわけだ。正しい動きだと思う。

 ただ、今回見聞きした海外、特に欧米が出自の多国籍企業でのデジタル・トランスフォーメーションの例は、その切迫感とアプローチの点で、随分様子が異なるのだ。

 例えば、ある耐久消費財メーカーの場合。この会社では、まず数年先までに実用化され、十分活用できるであろう技術をどのように使うか(ユースケース「use case」と呼ばれる)を、2カ月の期間を切って、全社で徹底的に洗い出した。その結果出てきた潜在的メリットは、数千億円相当に上る。

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「切迫感に欠ける日本のデジタル技術活用」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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