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古代国家の成立期に日本型リーダーシップの萌芽

変化の時代の「ガバナンス」と「リーダーシップ」の考え方

2016年8月8日(月)

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(写真:Paylessimages – Fotolia)

 日本という国家が成立したのは、いつか?

 これは、もちろん「国家」をどう定義するかによって違ってくるが、その定義を
――「国の大部分の領域を支配する権力が存在」し、
かつ
――豪族がそれぞれの地域を実質支配している形態から「官僚制による地方統治に移行」する
という要件を満たす時期とする。そうすると、大宝元年(701年)ごろが、日本の古代国家成立期と考えてよい。

 こう教えてくださったのは、国際日本文化研究センターの倉本一宏先生だ。

 毎年恒例の軽井沢での勉強会。今年は、日本の歴史を学び直すというテーマの一回目だったのだが、大変面白かったもののひとつが、倉本先生の講義だった。「日本古代国家の成立を中心に」という題で、上代から王朝国家が成立するあたりまで、最新の知見も交えながら、教えていただいた。

 先生のお話しになる本筋も深みを感じさせるものだったが、こちらが不勉強で知識が限られているせいか、本筋の周辺で、ぼそっと触れられる脇道の話がめっぽう面白い。

 たとえば、中国本土以外で独自の律令を作ったのは、ベトナムと日本だけだということ。この二つの国を比較すると、日本が万葉仮名からひらがなを作り上げたのが7世紀初めであるのに対し、ベトナムがフランス語のアルファベットを組み合わせて、独自の文字を作ったのは19世紀だったこと。当然、この「ひらがなの発明」が日本の識字率を早い時期から高めたこと。などなどを感想めいた形でお話しになる。

 こちらが、もともと持っている問題認識のひとつ、すなわち「どうして、日本は開国後、アジアの中では例外的なスピードで、工業力、軍事力で欧米列強にキャッチアップできたのか」という問いに、密接に関連するような話が多々出てくる。

 講義の後に調べてみたが、確かに朝鮮半島では中国の律令をかなりそのままの形で取り入れたようで、冊封(さくほう)を受けなかった日本、そして、何度も中国王朝の支配下に入ったが、事実上の独立を果たすと独自の律令制定を行ったベトナムが、中国周辺の国々の中では例外的だったようだ。

 また、独自の文字作りについても、ウイグル文字から派生したモンゴル文字の成立が13世紀、李氏朝鮮の世宗の時代に作り上げられたハングルの成立が15世紀だということを知ると、日本の万葉仮名、草仮名、ひらがな、カタカナという流れでの「学習が容易な文字の成立」が7世紀であったことが、われわれの歴史、文化に与えた影響は、ものすごく大きいものだったろうと思える。

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「古代国家の成立期に日本型リーダーシップの萌芽」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長