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インダストリー4.0がピンと来ないワケ

それでも十二分に可能性がある

2015年10月13日(火)

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 つい先だって、私のドイツの同僚たちが、「インダストリー4.0」のドイツの雇用への影響についてのレポートをまとめた。上の図表1のように、2025年までの間に、ベースシナリオではドイツ全体で現在の総労働者数の5%に相当する約35万人の雇用「増」が見込まれる、という内容だ。

 興味深いのはこの内訳で、オートメーションの進展などで、組立・生産現場を中心に約61万人の雇用が減少、一方、IT(情報技術)・データサイエンス領域を中心に約96万人の雇用が創出されるという。この差分が、35万人の純増となるわけだ。

 すぐにお気づきになられただろうが、実際には、雇用が減少する工場現場の人たちがそのまま(簡単に)IT・データサイエンスの領域に移行できるとは思えない。全体として雇用が増えたとしても、ミスマッチはかなり大きなものとなり、再教育を行ったとしても、個々の働き手にとってはなかなか大変な時代がやってくる、という見通しである(詳細は、プレスリリースオリジナルリポート全文をご参照ください)。

インダストリー4.0の背景に米国への脅威

 さて、ドイツ発のインダストリー4.0。日本では、「これは、本当に実体のあるものなのか」という疑問をあちこちで聞く。

 メディアでは、日本は置いていかれないようにしなければならない、というトーンの論調を数多く見かけるし、政府は日本版の製造業デジタル革命を促進しようと、様々な政策的支援を準備しつつある。

 しかし、あちらこちらで行われている講演や展示会を見て歩いた方々からは、「どうもピンと来ない」「コンセプトだけが一人歩きしているようで、実体が見えない」という声が聞こえてくる。

 私自身の現段階での考えは、以下のようなものだ。

 (1)大きな方向性、すなわちセンサー、データ、アナリティクス、AI(人工知能)を活用して、生産性を上げる、という方向性は、間違いない。

 (2)ドイツは、米国デジタル企業による製造業イノベーションで、自国の中堅・中小企業群が壊滅的なダメージを受けることを徹底的に避けるべく、トップダウン型、かつマーケティング戦略の意図も込めて、インダストリー4.0を提唱、進めてきたし、今後もそうであろう。

 (3)ただし、現時点では日本の先端的製造業から見ると、驚くようなものは具体的に出てきていないのが実状。さらに、現場の知恵を生かし、すり合わせで競争力を構築する日本の組み立て加工業にとっては、ドイツ型とは違った形でのIoT(インターネット・オブ・シングス=モノのインターネット)活用も出てくる可能性が高い。

 少し上記について、補足してみたい。

 ご承知のように、ドイツの製造業の競争力は、かなりの部分、中堅・中小企業に支えられている。日本で多く見られる系列、あるいは大企業の下請け的な仕事だけではなく、自社ブランドで製品を作り、販売するという中堅・中小企業も数多い。イメージとしては、数多くの匠が存在する国、という感じだろうか。

 彼らにとって、将来の脅威となるのは、米国だ。低いエネルギー価格に加えて、イノベーションを起こし続けるデジタル企業(グーグルのような企業だけでなく、3Dプリンティングなどの製造そのもののデジタル化でイノベーションを起こす企業も含む)が数多く存在し、彼らが製造業を競争のルールが全く違う世界に変えてしまう、というのが大きなリスクとなる。

 実際に、こういう競争優位を勘案して、オバマ政権は米国製造業の復権を目指した政策を打ち出している。

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「インダストリー4.0がピンと来ないワケ」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長