• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「海の京都」再訪で確認した地域おこしの条件

京の料亭「和久傳」の現地における試みに学ぶ

2015年12月15日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 伊勢神宮の外宮のルーツは、京都府の丹後地方、現在の天の橋立あたりにある。外宮にまつられている豊受大神(とようけのおおかみ)は、同地方から迎えられた、と伊勢神宮作成の資料に明記されているのだが、さらに、内宮も含めて、伊勢神宮の元宮は丹後であると記した古い誌料も存在するという。

 この話を教えてくださったのは、天の橋立を望む高台に立つ籠(この)神社の禰宜(ねぎ)、海部穀成氏だ。国宝に指定されている現存最古の家系図があり、神話時代以降、延々と続いていると考えられる海部氏の当主である。

 ご教示によれば、奈良時代に成立した「丹後国風土記」には、天の橋立の起源についての神話が記されており、イザナギノミコトが高天原と行き来するために使っていた長大な梯子が突然倒れ、天の橋立になったという内容だそうだ。

 大陸と海の道で結ばれていて、古墳時代から高いレベルの文化を誇っていた丹後地方。ここに国作り神話の主人公が来ていて、外界との出入りの玄関口としていた、という意味の神話であろう。

 実際に、丹後は日本有数の古墳群がある地域だ。まだあまり発掘されていないが、膨大な数のガラス製のくがたまや銅鏡などが出土しているだけに、いろいろな想像をかき立てられる。大和朝廷と出雲、丹後などの日本海側の勢力との関係。そして、丹後から伊勢に、強力な勢力の象徴であったであろう祭神が移動することの背景、などなど。なかなか興味が尽きない。

 以前にもご紹介した「海の京都」の現場に足を運び、広域の観光連携を可能にすべくご苦労されてきた方々の話を伺おうという趣旨で、経済同友会の観光立国委員会のメンバーの方々と、先日、舞鶴、宮津、京丹後の各市を訪ねてきた。上記の話は、その際に教えていただいたものだ。

「地元の人が地元を好きになる」が前提条件

 初めて「海の京都」という言葉を耳にする読者の方もいらっしゃるだろうから、念のため説明させていただく。

 京都府は日本海から奈良県境まで、南北にかなり長く広がっている。ただ、通常は「京都」というと京都市を指し、その圧倒的な観光ブランドゆえに、かえってそれ以外の「京都」府内地域は、存在を意識される機会が少ない。特に、日本海に面する丹後地方は「京都」としてのイメージ想起の力が弱く、日本三景の一つである天の橋立を有する割には、観光客数も伸び悩んでいた。

 丹後地域全般への観光増を図るためには、地域内の7自治体(市と町)間の連携も必要なのだが、これもなかなか進まない。このため、丹後の広域観光と地域おこしを推進する地元の民間中核メンバーの組織が立ち上がった。京都府も積極的に参画し、民間のイニシアチブと各市・町の動きをリンクさせる形で、「海の京都観光推進協議会」や「海の京都実践会議」という場ができた。

 この場で議論された地元の官民の手によるプランを基に、国や府の予算も活用して、メリハリのついた観光インフラへの投資を行ってきた。これが、「海の京都」の大くくりな動きである。長年、一部が途切れていた高速道路がつながったこともあり、ここへ来て、この動きは成果を上げ始めている。

 今回の訪問では、海部氏の外にも、京都府副知事はじめ、様々な方々のお話を伺うことができた。

 一番の感想は、(過去のコラムでも触れたように)「地元の人が地元のことを好きになる」、あるいは「地元に強い誇りを抱く」ことが、地域おこしにつながる観光振興の前提条件であること。さらに、官主導だけでは進まない物事が、地元の民間が主導的な立場を取ることで動き始める。これらを再確認できたのは、大きな収穫だった。やはり、現場で話を聞いて、初めて得心のいく部分がある。

コメント0

「御立尚資の帰ってきた「経営レンズ箱」」のバックナンバー

一覧

「「海の京都」再訪で確認した地域おこしの条件」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック