• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「10センチ離してください」の冷酷

弱い誰かは、明日の自分だ

2015年11月13日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

(ご相談をお寄せください。こちらのフォームから)

ご相談

 日々仕事に追われ、責任ある役職を任されている今、親が介護を必要とする状況となりました。もちろん親の心配をしながら、仕事も放っておくわけにはいかず、心の整理もつかないまま、慌ただしく過ごしています。今後のことを考えると不安も尽きず…。(40代女性)

遙から

 この社会はつくづく不完全だなぁ、ある種類の人たちの目線で仕上げられているなぁ、と最も感じるのが、車椅子の人と街に出た時だ。

 高齢者施設で暮らしている知人の男性を歌舞伎にお誘いした。施設のホールでは高齢者たちが風船でバレーボールみたいなゲームをやっている。

 知人の高齢男性は「あんなこと、やってられるか…。僕はいつも参加せん」と言ってのける。彼にとっては高齢者=幼稚園児のように扱われることに辟易としているようだ。

 「では、私たちは歌舞伎に行きましょう」

 「行こう!」という時の知人は輝いた表情だった。

お洒落は不要ですか

 出がけに「ハンカチとティッシュを」と施設の職員にお願いしたが、答えは「ありません」。

 …そうだった。「お洒落な方ですので、観劇の日にはスーツを着せてあげてください」という私の依頼に、施設は「え? 服はありませんが」という回答だったのを思い出した。

 確かに日頃の生活にスーツは要らないだろうが、まさか入居に際して身ぐるみはがされるわけではないだろうから、外出用の服がないというのはどうしたわけか。詳しい仕組みはわからないまま、ジャージ姿での観劇を覚悟した。いつもポケットチーフにストールで決めていた高齢男性だから、こんな日だけでもお洒落をさせてあげたかったが、そこは多くを望むまい。

 「いいですよ。ジャージでも」と返事しておいたが、どうやらジャケットは手に入れたようだ。だが、ハンカチとティッシュは準備できなかった。

 「差し上げます。私のハンカチ」

 「すまないね」と私のを知人は受け取った。

「遙なるコンシェルジュ「男の悩み 女の嘆き」」のバックナンバー

一覧

「「10センチ離してください」の冷酷」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

定年後の社会との断絶はシニアの心身の健康を急速に衰えさせる要因となっている。

檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師