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脱北は「移民型」の時代に

2016年8月31日(水)

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北朝鮮のテ・ヨンホ駐英公使の脱北を報じる韓国テレビ(写真:ロイター/アフロ)

 7月から家族と共に行方がわからなくなっていた北朝鮮のテ・ヨンホ駐英公使が、韓国に亡命したことが判明した。当初、第3国に亡命したとみられていたが、韓国の統一部(韓国の「部」は日本の「省」)は8月17日、テ公使一家が韓国に入国したことを正式に発表した。

 統一部によると、テ公使は、これまでに北朝鮮から韓国に脱北した北朝鮮外交官の中で最も地位が高いという。脱北とは文字通り北朝鮮から脱出することである。統一部は、以下の条件を満たすものを北韓(北朝鮮)離脱住民(脱北者ともいう)と認め、北朝鮮の外に滞在している脱北者が韓国行きを希望する場合、全員を受け入れることにしている。

・北韓離脱住民
・北朝鮮に住所・直系家族・配偶者・職場などがある者
・北朝鮮から脱出した後、外国の国籍を取得していない者

 統一部はこの日、以下を発表した。
「テ公使一家は自由民主主義への憧れと、子供の将来を思って脱北」
「テ公使は海外に長年住んでいたので、外の世界の情報にふれる機会が多く、韓国と北朝鮮を比較できた。金正恩体制は希望がないと気づいたのかもしれない。テ公使の脱北は金正恩体制の内部結束にひびが入るきっかけになるだろう」
「北韓のエリート層の間で『金正恩体制はこれ以上希望がない、もう限界だ』という認識が広がり、支配層の結束が弱まっているようだ」
「1990年代より前は政治的理由で仕方なく脱北する人が多かったが、最近は、より良い生活がしたくて脱北する『移民型脱北』が増えている」

 8月21日付の英エキスプレス紙によると、テ公使一家は英情報機関と6月に接触して亡命の意思を固めた。米国の協力を得て、ロンドンからドイツのラムシュタインにある米軍空軍基地に移動し、そこから韓国に飛んだという。北朝鮮当局がテ公使のパスポートを押収し、北朝鮮に送還する直前だった。

 テ公使一家以外にも脱北が相次いでいる。2016年4月には中国・寧波にある北朝鮮レストランの従業員13人が、4月には中国・陝西にある北朝鮮レストランの従業員3人が脱北者として韓国に入国した。8月25日には、北朝鮮とロシアの貿易を担当する幹部がロシアから韓国へ脱北したというニュースもあった。

ミサイル試射は体制健在をアピールするため

 脱北が続く中、韓国軍は8月25日、「北朝鮮が24日午前5時半頃、韓国の東側の海に向けてTHADDでは防衛が難しいとされる潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を1発試験発射した」「ミサイルは500Kmを飛んだ。前回の試験発射より性能がよくなったように見える」と発表した。韓国軍はこのミサイル試験発射を「韓米合同練習に対する抗議」と「脱北が相次いでも金正恩体制は健在であるとアピールするため」に実施したと分析した。

 ユン・ビョンセ外相は8月28日、テレビ番組に出演し、「ここ8か月間、脱北して韓国に入国した北韓のエリート層は過去最多」「(脱北者が増えているのは)国際社会の対北圧力が効果を発揮したから」「10月に行われる韓米外交・国防長官会議でも北韓にどう圧力をかけられるかを議論する」と発言した。

 ユン長官の発言からも、統一部がいう「移民型脱北」が増えていることがうかがえる。北朝鮮のエリート層の脱北が増えている、つまり、北朝鮮でいい身分を持ちいい暮らしができるけど、北朝鮮ではなく他の国でもっと自由に暮らしたいという理由で脱北する人が増加している。

 統一部が8月26日に開いた定例記者会見で、「海外に駐在している人の脱北が続くのは、金正恩の恐怖政治により北韓内部の不安定の度合いが強まっているから」「北韓が脱北を食い止めるために軍事的挑発をする可能性もあるとみている」という話も出た。

 8月25日には米国務省のカティーナ・アダムス東アジア太平洋担当報道官が、「米国は北朝鮮の人権と、北朝鮮の難民・亡命申請者の待遇について懸念している。この問題に関して持続可能な解決策を探るべく、米国は国連人権委員会、国連難民機構を含む国際機構と協力する」「すべての国が、北朝鮮からの難民と亡命申請者を保護すべく協力すべきである」という立場を表明した。

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「脱北は「移民型」の時代に」の著者

趙 章恩

趙 章恩(ちょう・ちゃんうん)

ITジャーナリスト

研究者、ジャーナリスト。小学校~高校まで東京で育つ。ソウルの梨花女子大学卒業。東京大学学際情報学府博士課程に在学。日経新聞「ネット時評」、日経パソコン「Korea on the web」などを連載。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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