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韓国を揺るがす「大学入試の日」が変わる?!

2015年11月11日(水)

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 11月12日は韓国の大学入試、「大学修学能力試験」の日である。当日は受験生の邪魔にならないよう公務員は出勤時間を遅らせ、地下鉄やバスは本数を増やす臨時ダイヤで運行する。試験会場周辺は騒音防止のため交通制限を行い、英語聞き取り試験の時間帯は飛行機の離着陸を中断する。韓国中が受験生に気を使い、ぴりぴりした雰囲気になる。パトカーや白バイが、遅刻しそうな受験生を乗せて試験会場に送る場面は、日本のテレビにもよく登場する。

 韓国の教育部(「部」は「省」に相当する)の資料によると、全国の在籍学生数(幼稚園から高校までを含む)は1986年の1031万人をピークに毎年平均10万人ずつ減少し続け、2015年には682万人にまで減少した。2015年は史上初めて、大学生の数まで減少した。(参考:「韓国、4年制大学の学生数が史上初めて減少」)

 学生の数が減ると受験生の数も減り、大学入試は楽になるはず。だが、人口減少を受け大学も定員を減らしているので、名門大学に入るための競争は激しさを増すばかりである。就職難のため、名門大学に入れるかどうかで今後60年以上の人生が決まってしまうからだ。

受験票は水戸黄門の印籠

 大学修学能力試験日が近づくとデパートやスーパーには特設コーナーが登場する。試験当日の必需品である保温弁当箱と魔法瓶、サプリ、合格を祈願する受験生へのプレゼントなどを販売するコーナーだ。

 保温弁当箱と魔法瓶は、受験生は朝8時から午後5時まで試験会場の外に出られないので必需品だ。サプリは、疲労回復効果がある高麗人参や、記憶力を向上させる効果があると宣伝されているビタミンD・天然カルシウム・天然鉄分などを配合したものの人気が高い。プレゼントには、昔から餅が人気。最近はヨッ(白や茶色の飴。歯にくっつくことから大学にくっつけという意味で贈る)も注目を集めている。

 今年は独特な合格祈願商品が登場した。「心配人形」はインディアンのお守りを模したもの。心配事を話して枕の下に入れて寝ると悩みを解決してくれるという。日本のマンガ「ドラゴンボール」に出てくるクリスタルのドラゴンボール7個セット(持っていると願いが叶うと宣伝している)も登場した。ソウル大学やハーバード大学など名門大学のロゴ入り文具やソウル大学の図書館で使っているというデスクライトなど有名大学にちなんだ商品もある。

 この時期になると、韓国ならではのマーケティングが登場する。11月12日から年末にかけて、大学修学能力試験の受験票は水戸黄門の印籠のような役割を果たす。これを持っていればどこに行っても特別扱いされるのだ。大田市鉄道公社は11月12日、受験生が無料で乗車できるようにする。全国のテーマパークは1日パスポートを6割引で販売する。レストランチェーンでは特別メニューを無料で提供する。デパートではセール価格で洋服が買える。

占いで答えを決める?

 11月に入って、韓国のテレビも新聞は、バラエティー番組やお笑い番組までも大学修学能力試験の話題一色になった。交通情報を24時間流す交通放送ラジオ局ですら、受験生を持つ親向けの放送をしている。大学修学能力試験特集を組み、有名予備校の入試コンサルタントに大学修学能力試験で高得点を得る秘訣を聞いたり、心療内科の医師に試験会場で緊張しないマインドコントロールのコツを聞いたりという具合だ。

 11月7日付朝鮮日報は入試を前に占いにすがる受験生の話を紹介した。占い師は、受験生の生年月日を基に占い、試験対応法を教えてくれるという。例えば、「五択問題で2番か5番か迷ったら2番。全然分からない場合は5番を選択しろ」という具合だ。30分の占い時間に1万円以上の料金がかかるが、予約も取れないほど繁盛しているとか。1枚3万円以上する合格札も人気だという。

 朝鮮日報は、眠気覚まし薬として「リタリン」という向精神薬を服用する受験生が増えていて危険とも報じた。

 11月4日付の中央日報は、大学修学能力試験の小論文や口述テストに出題されそうな1年間の出来事をまとめて紹介した。MARS(中東呼吸器症候群)、シリア難民、ネパール震災、姦通罪廃止、米国の同性結婚合法化などが並んでいる。大人にとっても難しいテーマばかりである。

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「韓国を揺るがす「大学入試の日」が変わる?!」の著者

趙 章恩

趙 章恩(ちょう・ちゃんうん)

ITジャーナリスト

研究者、ジャーナリスト。小学校~高校まで東京で育つ。ソウルの梨花女子大学卒業。東京大学学際情報学府博士課程に在学。日経新聞「ネット時評」、日経パソコン「Korea on the web」などを連載。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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