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日銀がマネー拡大しても民間融資は増えない

日銀依存の誤った幻想を斬る

2016年4月21日(木)

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 (前回はこちら)  前回、「日銀が国債を全て買い切れば、『国民負担無し』で財政再建が終了する」といった主旨の言説が誤解であることを証明した。

 今回は、「日銀がマネタリーベース(現金+準備)を拡大すれば、民間銀行は貸出を増やすはずである」という主張も、「準備」(中央銀行が民間銀行から預かっている預金=日銀当座預金)が超過となっている現在の状況では成立しないことについて述べる。

 この理由は2つある。一つは現在の超過準備が異常な規模に達していることもう一つは、現代の金融システムで資金決済の中核を担うのは「現金」でなく「預金」だからだ。その際、第1 の理由との関連では、「一定程度の超過準備があるとき、民間銀行が貸出を増やしても、準備は基本的に変化しない」という事実に関する理解が重要である。この理由や事実を把握するため、例えば図表1のケースで、家計AがB社の不動産を購入する際、民間銀行が家計Aに50の貸出を行う場合を考えてみよう。

 この場合、貸し手である民間銀行は一般的に、借り手である家計A向けに貸出50を実行するのに合わせて、家計Aの預金口座を開設し、そこに預金50をチャージする。このとき、民間銀行は、図表1の自らのバランシートの資産側に貸出50、負債側に預金50を追加する帳簿上の操作を行うだけである。これは「信用創造」の基本的な機能であり、民間銀行のバランスシートは、以下の図表2のようになる。

 その際、借り手である家計が、B社との不動産売買を決済するため、預金50を現金として引き出す可能性も完全には否定できないが、その可能性は高くない。大量の現金を資金決済のために持ち運ぶのは防犯上のリスクが極めて高いからだ。このため、不動産の買い手である家計Aは振込み手続きを行い、B社の口座に預金50を振り込むのが一般的だ。この時、民間銀行全体で見た準備や預金の総額は何も変わらない。

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「日銀がマネー拡大しても民間融資は増えない」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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