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腰砕けの「骨太方針2015」

甘い経済成長見通しと不透明な歳出削減

2015年7月7日(火)

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 政府・与党は、2020年度までに国・地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス、以下「PB」という)を2020年度までに黒字化する財政再建目標を掲げている。この実現のため、政府は6月30日、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(いわゆる「骨太方針」)を閣議決定した。

 今回の骨太方針は、非現実的な実質2%の高成長ケース(経済再生ケース)を前提とし、2018年度のPB赤字を対GDPで1%程度にする目安を盛り込んだ。歳出改革では、歳出削減の具体的目標を設定しなかった。成長重視派と財政規律派が対立する中、成長重視派の意向を強く反映するものとなった。

 骨太方針は、2020年度までにPBを黒字化する目標を達成する上で、様々な問題を抱えている。では、具体的に何が問題か。

経済成長の見込みが高すぎる

 第1は「成長率の前提」の甘さである。内閣府が今年2月に公表した「中長期の経済財政に関する試算」では、実質2.2%という楽観的な高成長ケース(経済再生ケース)と、慎重な見通しによる実質0.9%の成長ケース(ベースラインケース)を取り上げていた。前者よりも後者の方が現在の日本経済の実力(実質GDP成長率=1%程度)に近いにもかかわらず、今回の骨太方針は実質2%の高成長ケース(経済再生ケース)を採用している。

図表:日本の実質GDP成長率の推移
(出所)内閣府・国民経済計算から作成

 これは、骨太方針の2ページにおいて、「中長期的に、実質GDP成長率2%程度、名目GDP成長率3%程度を上回る経済成長の実現を目指す」という表現が存在することからも読み取れる。図表に示す通り、バブル崩壊以降の成長率は年平均1.1%に過ぎない高度成長が終焉する1970年代前半(実質GDP成長率は年平均9%超)や、バブルが崩壊する直前の1990年(年平均3.9%)とは状況が異なる

 成長率の低下は、日本経済が直面する人口減少や中国・インドの台頭などグローバルな構造的変化が影響している。成長戦略が機能してもそれが効果を発揮するには長い時間を要するのが通常だ。このため、成長率が突然高まることを期待することはできない。また、2017年4月に消費税率を10%に引き上げる場合、それが経済成長率に及ぼすネガティブな影響も慎重に判断する必要がある。

 実質GDP成長率がバブル崩壊以降の年平均1.1%に近い値で推移すると仮定ならば、「ベースラインケース」を前提に財政・社会保障改革を検討するのが誠実な政治の態度である。

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「腰砕けの「骨太方針2015」」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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