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国家の浮沈は誠実な会計が握る

2015年8月6日(木)

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 ジェイコブ著『帳簿の世界史』(文藝春秋)に以下の記述がある。

ルネサンス期のイタリア、スペイン帝国、ルイ14世のフランスからネーデルラント連邦共和国、大英帝国、独立初期のアメリカにいたるまで、一国の浮沈のカギを握るのは政治の責任と誠実な会計だった。よい会計慣行が政府の基盤を安定させ、商業と社会を活性化するのに対し、不透明な会計とそれに伴う責任の欠如が金融の混乱、金融犯罪、社会不安を招いてきたことは、何度となく歴史が証明している。何兆ドルもの負債と大規模な金融不祥事に直面する今日も、メディチのフィレンツェ、オランダの黄金時代、大英帝国の全盛期、一九二九年のウォール街も、この点では変わらない。社会と政治が大規模な危機に直面せず繁栄を謳歌できたのは、会計の責任がきちんと果たされていたごく短い期間だけだったようにみえる

 つまり、国家の浮沈は誠実な会計が握るという指摘だ。内閣府が7月22日、経済財政諮問会議において、「中長期の経済財政に関する試算」(以下「7月版の中長期試算」という)を公表した。ジェイコブの指摘は、財政再建の検討に必要となるマクロ経済や財政の見通しにも当てはまる。

 今回は、マクロ経済や財政の見通しの重要性を深く認識するため、7月版の中長期試算を、2月版と比較してみよう。

 まず、政府・与党は現在、「腰砕けの『骨太方針2015』」の回で説明した「骨太の方針」に従い、2018年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の赤字幅を対GDPで1%程度まで縮小、2020年度までに黒字化することを目指している。

 また、中長期試算は、高成長(実質GDP成長率2%程度)を前提とする「経済再生ケース」と、慎重な成長率(実質GDP成長率1%程度)を前提とする「ベースラインケース」を示している。このうち、7月版および2月版の「経済再生ケース」におけるPB予測を以下の図表1にプロットした。

 黒線が2月版のPB予測、赤線が7月版のPB予測だ。2月版の2020年度におけるPB赤字は対GDPで1.6%であったが、7月版のPB赤字は1%に改善している。図表は改善要因を棒ブラフで示している。7月版においてPBが改善した主な要因は、国の税収等(対GDP)の予測経路が上方改定された影響が大きい。

図表1:7月版および2月版のPB予測(経済再生ケース)
(出所)内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(2015年2月版・7月版)から作成

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「国家の浮沈は誠実な会計が握る」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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