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混迷深める軽減税率、導入は絶対阻止するべし!

2015年10月2日(金)

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 軽減税率を巡る議論が混迷を深めている。2015年9月25日のNHKニュースは、「自民・公明両党は来月半ばまで議論を中断し、財務省案と、店頭等で一部の品目の税率を低くする仕組みの双方の課題を整理しつつ、今年秋を目途としていた軽減税率の制度案の概要の取りまとめは見送る」と報道した。

 公明党が軽減税率の導入に固執していることが、議論が混迷している主な原因だ。消費増税に伴う低所得者対策は、大きく2つの方法がある。一つは軽減税率を導入する方法で、もう一つは低所得者に給付を行う方法である。このうち軽減税率の導入は、以下の理由から、絶対阻止する必要がある。

理由① 対象品目の線引きが困難

 現在、「酒、外食を除く飲食料品」を軽減税率の対象とする案がある。だが、ファストフードの店内で飲食するケースと持ち帰るケースをどう区別するのかは不透明だ。例えば、マクドナルドで「自宅に持ち帰る」と言ってハンバーガーを購入すれば軽減税率が適用される。その後、この顧客が店内で飲食することを店舗側が完全に妨ぐことは不可能に近い。

 また、スーパーやコンビニなどでよく見かける「おまけつきのお菓子」が軽減税率の対象となるかどうかも不透明である。仮に軽減税率の対象になる場合、ダイヤモンドなどの宝石や高級時計などのブランド品と、お菓子などの飲食料品をセット販売することで、税法の網の目をすり抜け、軽減税率の適用を受けようとする試みが出てきても不思議ではない。

 場合によっては、何に対して軽減税率を適用するかの判断を巡り、課税当局と事業者との間で訴訟が起こり、何年間も法廷闘争を繰り広げなければならなくなる可能性がある。社会的なコストは非常に大きい。

理由② 新たな政治利権の温床につながる

 上記の理由①の問題もあるが、どの品目を軽減税率の対象とするか決定するのは与党の有力議員や官僚である。

 競争が激しく、消費者が価格に敏感に反応する市場を抱える各業界にとって、価格の設定は収益を左右する。軽減税率の対象にできれば、その商品の売り上げは標準税率の商品よりも増える可能性がある。

 このため、各業界は、献金や天下り先の用意を含めて様々な手段を駆使して、自らの商品を軽減税率の対象にしてもらおうと、与党や関係官庁に必死に陳情合戦を行うはずである。各業界が結束して選挙での集票団体となり、業界団体と政治が癒着し、汚職の温床に発展してしまう可能性が否定できない。

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「混迷深める軽減税率、導入は絶対阻止するべし!」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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