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世界最小の衛星打ち上げロケット、失敗

最短期間でリベンジすべき理由

2017年1月17日(火)

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SS-520ロケット4号機の打ち上げ(1月15日、内之浦宇宙空間観測所にて。撮影:柴田孔明)

 結果は失敗だった。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)・宇宙科学研究所(ISAS)は、1月15日午前8時33分、内之浦宇宙空間観測所から「SS-520」ロケット4号機を打ち上げた。SS-520の4号機は直径520mm、全長9.54m、全備重量は2.6トン。同ロケットには東京大学の超小型実験衛星「TRICOM-1」(重量3kg)が搭載されており、成功すれば「世界最小のロケットによる衛星打ち上げ」になるはずだった。しかし、ロケットからの通信が途絶えて打ち上げは失敗した。

 JAXAは、この打ち上げを、地上で使う大量生産された民生部品が、高い信頼性を要求される宇宙用機器でも使えるかどうかを調べる実験と位置付けており、今回1機限りの予定だった。ここで問題になるのは、事故原因究明後に、失敗と位置付けてプロジェクトを終了するか、それとも再度の打ち上げ実験を実施するかどうかということだ。

 安価な民生部品の衛星への利用は、1990年代から試験的に始まり、2000年代に入って大学や民間企業などが重量1kg~数kgの超小型衛星を開発・運用するようになって急速に進んだ。一方、ロケットの搭載電子機器への民生部品の使用は、まだほとんど例がない。

 3つの理由から、今回の実験の早期の再実施は必須だろう。

 まず、ロケット搭載電子機器への民生部品の適用は、より大型のロケットのコストダウンにとっても重要であること。次に、重量数kg~数十kg級の衛星を打ち上げる超小型ロケットの需要は今後伸びると予想されていること。最後に、小型ロケットの分野でも中国が急伸しており、日本は素早く手を打っていかなければ、あっという間に中国に市場を持って行かれる可能性があるということだ。

打ち上げ後20秒で電波が途絶

 今回の打ち上げは当初1月11日朝に予定されていた。しかし、11日朝は風が強く、かつ風速も安定しなかったために打ち上げは中止となり、その後13日になって打ち上げ日を15日に再設定した。

 発射直後、ロケットは正常に飛行したが、第1段噴射途中の打ち上げ後20秒で、ロケットの状態を地上に知らせるテレメトリーの電波が途絶してしまった。SS-520・4号機は第1段分離後に姿勢制御を行う。姿勢制御が完了した時点で、ロケットの姿勢、高度、速度などの条件が予め設定した条件の範囲内に入っていることを確認した上で、第2段噴射開始を地上からの電波で指示する設計になっていた。

 テレメトリー電波の途絶で、ロケットの動作状況を確認できなくなったため、実験班は第2段噴射のコマンド送信を中止した。ロケットはそのまま弾道軌道で飛行を続け、事前に設定していた第1段落下海域に着水、水没した。ただし、搭載していた衛星のTRICOM-1からの電波が受信されており、衛星フェアリング分離と衛星の放出は正常に行われた模様だ(第2段以降の噴射が行われないまま衛星を放出したので、衛星もロケットと同じ海域に落下した)。

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「世界最小の衛星打ち上げロケット、失敗」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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