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北朝鮮のロケット、今回の打ち上げの注目点

警戒は必要だが、ICBMに直結はしない

  • 松浦 晋也

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2016年2月8日(月)

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北朝鮮が今回の打ち上げ発表のため公開した静止画。動画は前回2012年12月の打ち上げ時の映像の流用だった。

 2016年2月7日朝、日本時間の午前9時29分(米国防省発表、日本政府発表では同31分)、北朝鮮は黄海に面した東倉里(トンチャンリ)の西海衛星発射場から大型ロケットを打ち上げた。

 打ち上げ後、北朝鮮が国際海事機関に通告した予定海域に、第1段とフェアリングと推定される物体が落下した。第2段と思われる物体は、予定海域をやや外して落下。しかし第3段とペイロードはそのまま飛行を継続。北朝鮮の朝鮮中央テレビは7日午後0時半からの特別ニュースで、地球観測衛星「光明星4号」を軌道傾斜角97.4度、高度500kmの軌道に投入したと発表。直後に、軌道上の人工物体をレーダーで監視している米戦略軍統合宇宙運用センター(JSpOC)は、軌道上に新たな人工物体を確認し、国際識別番号「2016-009A」(「2016年の9つ目の人工物体打ち上げで確認された1つめ【A】の物体」を意味する)を与えた。

 物体の軌道は軌道傾斜角(赤道に対する軌道の傾き)97.5252度、地表に最も近い近地点高度が463.15km、もっとも遠い遠地点高度497.54 km。これは、北朝鮮側の発表とほぼ一致する。若干近地点高度が低いが、打ち上げられた物体がスラスター(小型のロケットエンジン)を装備した衛星ならば、修正可能な程度の誤差である。

 その後午後に入って、朝鮮中央テレビで打ち上げの様子の画像が公表された。これによって、今回のロケットは2012年4月13日と同年12月12日に打ち上げられた銀河3号と同型だと判明した。

 今後の焦点は、はたして衛星からの電波が受信できるか、また、衛星の撮影した地表の画像を北朝鮮が公開するかである。2012年12月の打ち上げでは、北朝鮮は衛星打ち上げに成功と主張した。軌道上に人工物体が投入されたことは確認されたが、衛星からの電波は受信できず、衛星は軌道上で機能しなかったと推定されている。

地球観測を行う意志はやはり薄い

 今回の打ち上げが北朝鮮の主張通り「地球観測衛星」であるのかどうか。まず注目すべきは午前9時半という打ち上げ時刻だ。

 なぜか。太陽光を使う光学センサーで地表を観測する地球観測衛星は通常は、1)地上の物体が作る影が、何が写っているかの分析がしやすい適度な長さになること、2)地面が太陽光により暖められて取得画像を乱す陽炎が発生しないこと――という2つの条件から、直下の地表の地方時が常に午前10時半頃になる「太陽同期軌道※」という軌道に打ちあげられる。影の長さは午後1時半でも同じ長さとなるが、午後は地表が暖められ、上昇気流で大気が乱れるので画像がぼやけてしまうのだ。

(※太陽同期軌道:この軌道上の衛星から見ると、地上の特定の同じ場所を、同じ地方時に、同じ角度から当たる太陽光で見ることができる。このため、地球観測衛星のほとんどがこの軌道に打ち上げられる。同じ場所の上を再度通過するまでにかかる日数は、軌道高度と軌道傾斜角の組み合わせで変化する。たとえば宇宙航空研究開発機構の地球観測衛星「しずく」は16日毎に同時刻に同じ場所の上空を通過する軌道を使用している)

 この軌道に打ち上げるためには、射場の地方時が上空通過時刻と同じタイミングで打ち上げを実施する必要がある。上空通過時刻が午前10時半なら、射場の地方時が午前10時半前後に打ち上げる必要があるわけだ。上空通過時刻が決まると、その時の光の状態に合わせて光学センサーの設計も行う。地球観測衛星は、地球のどこでもいつでも撮影が可能なもの、ではなく、特定の場所、特定の時間に合わせて、光学系の設計から打ち上げのタイミングまで作り込むものなのだ。

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