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衛星「ひとみ」の重大トラブル、いま打つべき手

“官邸の安心”に使う予算はある日本

2016年4月6日(水)

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 前回、X線天文衛星「ひとみ」の打ち上げ成功に関する記事を、以下のように締めくくった。

おそらく政府は近い将来、2008年の宇宙基本法成立以降維持し続けている実利用と安全保障に重点を置く宇宙政策を、より宇宙科学と技術開発へ力を注ぐよう修正する必要が出てくるだろう。さもなくば、日本は世界の宇宙科学の進展から脱落することになる。それは長期的には、人類社会の繁栄へ日本は寄与しない――日本は世界の中でどうでもよい国になる――ということを意味する。
打ち上げ前の報道公開時のひとみ(撮影:松浦晋也)

 あまりに早く、「日本が、人類社会の繁栄に寄与するか否か」の試金石が来てしまった。

 3月28日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、ひとみに何らかのトラブルが発生し、観測ができない状態に陥っていると発表した。復旧に向けた作業が続いているが、4月5日現在、状況は好転していない。

 ひとみが観測に復帰できるとしても、復旧作業は今後数カ月の長丁場になることが予想される。ひとみからは、少なくとも10個の破片が分離したことが確認されており、うち1つは、かなり大きなものであることが分かっている。今後の推移次第では、復旧断念、あるいは復旧したものの観測に大きな支障を来すことになる可能性は否定できない。

ひとみの模型、軌道上では太陽電池パドルと、センサーを搭載したワークベンチを伸ばして、このような形状になる(撮影:松浦晋也)

 ひとみには、他に代替のない世界最先端の観測機器を搭載しており、十分な観測ができなければ、世界のX線天文学が停滞を余儀なくされることになる。前回書いた通り、X線望遠鏡を搭載するX線観測衛星は巨大化しつつあり、より一層の投資が必要になっている。しかも歴史的に見ると巨大化する望遠鏡は、科学の発展を根底から支える原動力であり、長期的にはこれほど役に立つ投資は他にはなかなかないといえるほどだ。

 ここで問題になるのは、世界最先端の一角を担ってきた日本のX線天文学の危機に対して、日本政府がどのような態度をとるかである。

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「衛星「ひとみ」の重大トラブル、いま打つべき手」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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