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北朝鮮、ムスダンの開発の異常なペース

再突入と高性能エンジン技術の習得に成功か

2016年6月30日(木)

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 ついに成功してしまった――北朝鮮は2016年6月22日、中距離弾道ミサイル「ムスダン」2発の発射実験を実施。うち1発は高度1000km以上に到達、水平距離400kmを飛行して日本海に落下したことが確認された。4月以降北朝鮮はムスダンの発射実験を繰り返していたが、成功と思われる飛行は今回が初めてである。ムスダンは射程距離が最大4000km程度と推定されており、日本のほぼ全域を射程に収め、かつ米軍基地のあるグアムも攻撃可能である。

今回発射試験に成功した「ムスダン」中距離弾道ミサイル。基地ではなく専用の車両から発射するので、衛星などで発射の兆候を検知するのは困難だ。(画像:朝鮮中央通信映像からキャプチャー)

 この発射成功により、北朝鮮は今後のミサイル開発にとって重要な、2つの技術を習得したと考えてよいだろう。大気圏再突入に必要な熱防護材の技術と、高性能の液体ロケットエンジンを実現する2段燃焼サイクル技術である。

異常なペースで発射実験を繰り返し、成功をもぎ取る

 中距離弾道ミサイル(IRBM)は、弾道飛行で目標に到達するミサイルのうち、射程距離が3000~5000km程度のものである。北朝鮮は1990年代初頭に、旧ソ連の開発した潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)「R-27」の技術情報を入手して、ムスダンの開発を開始した。ムスダンという名前は米国が付けたコードネームであり、北朝鮮は「火星10号」という名称を使用している。

 開発はかなり難航した模様だ。発射実験を目指した動きが出てくるのは開始から20年以上を経た2013年4月である。この時は、ムスダンが発射基地に搬入されただけで発射はしていない。

 最初の発射実験は今年2016年4月15日に朝鮮半島東岸の元山(ウォンサン)で行われたが、発射直後に機体が爆発して失敗した。

 しかしその後、北朝鮮は異常なペースでムスダンの発射実験を継続する。

 最初の失敗から2週間後の4月28日に2回目の試験を実施。この時は午前と午後にそれぞれ1回の発射を行ったが、共に爆発して失敗。1カ月後の5月31日にも試験を行うが、また失敗に終わった。

 そして前の失敗から3週間後の6月22日午前に2回の発射を実施。最初に発射したムスダンは150km飛行したものの、爆発して失敗。だが次に発射された通算6基目のムスダンが、はじめて高度1000km以上に到達し、水平距離400kmを飛行して日本海に着水した。この発射を北朝鮮は「高度1403.6kmに到達し、完全な成功」と発表した。明らかに「事故原因を調べて根本的な対策を施してから、再度発射試験を実施」ではなく、「その都度、その場でできる対策を講じて、とにかく成功するまで打ち続ける」という態度である。

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「北朝鮮、ムスダンの開発の異常なペース」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師