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「危ない橋を素早く渡る!」スペースXは止まらない

「ファルコン9」の射点上爆発事故から考える

2016年9月13日(火)

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 2002年の起業からはや14年。イーロン・マスク率いる米スペースXは、「失敗を恐れない」「大胆に新技術を実用化する」「急拡大を目指す」というシリコンバレーの経営戦略(というか、信条)を宇宙産業に持ち込み、文字通り突っ走ってきた。

 9月1日、その突進路線が大きな障害にぶつかった。

 フロリダ州ケープカナヴェラルの「LC40」射点上で打ち上げ前の試験中だった「ファルコン9」ロケットが爆発したのである。

 「射点」とは、ロケットの打ち上げ施設のこと。米国の「アポロ」を打ち上げたサターンロケットの隣に立っていたタワー状の建物をご記憶の方もあるだろう。打ち上げ前のロケットに推進剤を充填し、電力を供給し、打ち上げ時は噴射煙を受け止め――要するに、打ち上げに必要な施設の全体と考えればいい。

 射点上でのロケットの爆発は、ロケット運用事業者にとって最大の悪夢だ。

 ロケットや積荷の衛星だけではなく、打ち上げに不可欠なインフラである射点も損壊してしまうからだ。9月9日現在、事故原因は調査中で、今後の対策や打ち上げ再開時期は未定だ。スペースXにとって、過去最大の痛手と言って良いだろう。

 これまでの営業活動が功を奏して、スペースXは大量の打ち上げの注文を抱えている。今年はこれまでに8機を打ち上げ、さらに年内に29号機を含む11機を打ち上げる予定だった。年19機というのは、1打ち上げ事業者としては前代未聞のペースだ。ちなみに、スペースXと商業打ち上げ市場で激しく争っている欧州アリアンスペース社の2015年の打ち上げ実績は、大型の「アリアン5」が6機、中型の「ソユーズ」が3機、小型の「ヴェガ」が3機の、合計12機だった。

 ここで「安全確実を期して、より慎重に時間をかけて打ち上げを実施」と方針を変更すれば、顧客は「スペースXでは望むタイミングに衛星を打ち上げることはできない」と判断して離れるだろう。スペースXは立ち止まることなく、前に突き進むしかない。

なぜ衛星を搭載したまま噴射試験を行ったのか

 事故は、米東部夏時間9月1日午前9時7分(日本時間9月1日午後10時7分)に起きた。スペースXは、フロリダ州のケープカナヴェラル空軍ステーションにある「LC40」という射点設備から、ファルコン9を使った静止衛星打ち上げを行っている。この時、LC40では、ファルコン9ロケット29号機が、9月3日の打ち上げに向けた「スタティック・ファイアリング・テスト(SFT)」という試験を行っていた。打ち上げリハーサルを兼ねてロケットに実際に推進剤を充填し、第1段を短時間だけ噴射してみるという試験だ。

 ところがエンジン点火の約8分前、突如第2段に推進剤を供給するアンビリカル・ラインという配管付近から出火して爆発、火はたちまち推進剤を満載した第1段に回って大爆発を起こした。

ファルコン9ロケット29号機爆発の様子(動画:USLaunchReport.com)。この動画像からは、まず2段に推進剤を供給するアンビリカルと呼ばれる配管付近から火が出て2段が爆発、次に火が第1段に回って大きな爆発となり、最後に射点設備に支えられていた衛星を搭載したフェアリング部が落下し、衛星に搭載していた推進剤が爆発という経緯で事態が進行したことが見て取れる。

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「「危ない橋を素早く渡る!」スペースXは止まらない」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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