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情報収集衛星、鬼怒川水害でグーグルにKO負け

IGS撮影画像を初公開も、Googleクライシスレスポンスに完敗

2015年9月15日(火)

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 突然といっていいだろう。9月11日、内閣官房・内閣情報調査室(内調)は、情報収集衛星(IGS)で撮影した、鬼怒川の水害の情況の画像を公開した。公表された画像は2枚。デジタル処理で解像度を落としてあるが、IGSで取得した画像が公開されたのは、これが初めてである。

 画像公開の背景には、内調が、現在衛星4機体制のIGSを8機体制に倍増させ、さらに衛星間通信を行うデータ中継衛星を新たに保有する意志を示していることがある。

 ところが、同じ11日、グーグルは、災害関連情報を集約して表示するサイト「Googleクライシスレスポンス」で、水害地域の詳細衛星画像を公開した。米民間地球観測会社の衛星が取得した画像は、デジタル処理で劣化させたIGS画像より鮮明。かつグーグルマップの上に重ねて表示され、拡大縮小も自由自在。利用者の利便性は衛星情報センターの2枚の画像を圧倒的に上回っていた。虎の子の画像を公開することで「IGSは国民生活全般の役に立つ」という印象を作りたかった内閣官房は、出鼻をくじかれた。

Googleと同日のデータ公開、期せずして競うことに

 IGS取得画像は、2003年のIGS運用開始以降公開されておらず、現在は特定秘密保護法の指定対象となっている。ところが今年9月9日、内閣官房・内閣情報調査室は国内において大規模な災害や事故が発生した場合、かつ画像情報公開に意義がある場合に限り、デジタル処理で解像度を落としたIGS取得画像を公開すると方針を変更した(大規模災害時等における情報収集衛星画像に基づく加工処理画像の公開について:平成27年9月9日 内閣情報調査室 )。

 すると翌10日に、台風18号に伴う雨雲により、関東北部から東北にかけての地域を記録的豪雨が襲い、鬼怒川などの河川で堤防が決壊して大水害を引き起こした。9月11日、内閣情報調査室は、方針変更に基づき2枚の画像を公開した(平成27年台風第18号による大雨等に係る被災地域の加工処理画像等について:平成27年9月11日)

 IGSは、太陽光で地表を撮影する光学衛星と、レーダーの反射波を使うレーダー衛星の2種類が運用されている。今回公開されたのは光学衛星の撮影データ。衛星搭載センサーは60cmの分解能を持つが、公開画像はデジタル処理で解像度を落としてある。

 ところが同日、Googleクライシスレスポンスで、より解像度の高い衛星取得画像が、より使いやすい形で一般に提供された。

Googleクライシスレスポンスにおける衛星画像提供形態(左)と、内閣官房・内閣情報調査室によるIGS衛星画像提供形態(右)。GoogleクライシスレスポンスはGoogleマップに衛星画像データを貼り付ける形で提供しており、拡大縮小や地図との比較が可能。それに対して内閣官房は、pdfファイルに貼り付けた画像が2枚のみ。

 IGSの画像と、Googleクライシスレスポンスの画像を比べてみよう。

 内調が公開したIGS取得画像は、鬼怒川の決壊ヵ所付近関東鉄道常総線・水海道駅から鬼怒川・利根川合流点にかけての2枚。IGS光学衛星が撮影した画像に、その画像が地図上ではどのあたりになるかを示した小さな図が附属している。共にpdfファイルに画像を埋め込んである。

コメント44件コメント/レビュー

情報調査局の詳細な IGS画像を公開公開するということは相手(敵国?)に此方の情報収集能力を知られてしまう。ですから民間のグーグルと比較すること自体滑稽な事です。因みにUSAは地上の物体の100mm角まで認識できるそうです。日本のIGS能力を高める事は優秀な兵器を開発するのと同じくらい重要です。それによる国家への恩恵は計り知れない事になります。600億円の投資は無駄じゃないと思います。GPSの情報はUSAとNATOが手を組んで日本に対して1桁違いの情報しか供給してくれません。これは我が国が軽視されているからです。一刻も早く日本が自立しなければなりません。これは我が国の得意分野でもあります。(2016/09/15 22:53)

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「情報収集衛星、鬼怒川水害でグーグルにKO負け」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

情報調査局の詳細な IGS画像を公開公開するということは相手(敵国?)に此方の情報収集能力を知られてしまう。ですから民間のグーグルと比較すること自体滑稽な事です。因みにUSAは地上の物体の100mm角まで認識できるそうです。日本のIGS能力を高める事は優秀な兵器を開発するのと同じくらい重要です。それによる国家への恩恵は計り知れない事になります。600億円の投資は無駄じゃないと思います。GPSの情報はUSAとNATOが手を組んで日本に対して1桁違いの情報しか供給してくれません。これは我が国が軽視されているからです。一刻も早く日本が自立しなければなりません。これは我が国の得意分野でもあります。(2016/09/15 22:53)

今頃ですが、よく解らないので、ご教示願います。
日本の衛星画像はデジタル処理で解像度をわざと落としていると読み取れるのに、グーグルの方がハッキリ見えるので、政府の計画は時代に追いついていない、みたいに読み取れるのですが、論理的に噛み合わないのですが。
わざと解像度を落としているのなら、グーグルの方が素晴らしいではなく、何故、解像度を落として公表したかの方が問題では?
穿った見方をすれば、現政権に兎に角難癖つけようと記事にしているとも考えられます。
実際、最近、政権の揚げ足を取ろうとするような記事と思えるようなものが増えてきた気がしますが、気のせいでしょうか?(2015/09/29 00:43)

日本の情報収集衛星は、光学偵察と対地レーダー偵察の連携で、毎日日本周辺の国々の特定箇所を1回か2回を定期的に観測して情報を収集するものです。グーグルは光学衛星での観測って見栄えが良いのが売りの商売ですが、観測地域が天候が悪い場合は駄目で、日本の情報収集衛星の対地レーダー情報収集衛星が無いので、定点定期観測が出来ないので日本の防衛に寄与するのには片手落ちでしょうね。(2015/09/27 11:50)

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