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中国が宇宙で見せた技術力と“商売上手”っぷり

新技術満載の大型ロケット、長征5の打ち上げ成功

2016年11月9日(水)

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文昌衛星発射センターから上昇する長征5ロケット初号機(中国空間技術研究院)

 11月3日、中国・国家航天局は、海南島の文昌衛星発射センターから新型の大型ロケット「長征5」を打ち上げた。同ロケットは、現行の「長征2~4」と交代する次世代の長征ロケットとして、小型の「長征6」、有人打ち上げ用の「長征7」と共に開発されてきたロケットで、3機種のうちもっとも打ち上げ能力が大きい。打ち上げは当初現地時間午後6時(日本時間午後7時)を予定していたが、小さなトラブルがいくつも発生して2時間43分遅れ、午後8時43分(日本時間午後9時43分)となった。打ち上げは成功し、「遠征2号上段」(※注参照)と技術試験衛星「実践17号」を、予定の軌道に投入した。

 長征6(2015年9月20日打ち上げ成功:「新しい『長征』が中国の宇宙開発を加速する理由」:2015年10月20日参照)、長征7(今年6月25日打ち上げ成功)に続き、中国の新世代長征ロケットはすべて初打ち上げに成功した。が、今回の長征5の成功は、単に次世代のラインナップがそろったというだけではなく、中国の宇宙技術が世界最先端レベルにまで高度化していることを世界に示すものとなった。この初打ち上げでは、新規技術、そして新規技術の片鱗がいくつも姿を現したのである。

 これは、技術力の進歩だけでなく、中国が国際宇宙市場において、さらに強力な競争相手となることを示唆している。

(なお、長征シリーズが新世代に移行するまでの歴史的な背景を、記事の最後にコラムで簡単に説明したので、興味のある方はお読みいただきたい)

中国は全方位的技術開発を成功させつつある

 今回の打ち上げでは、長征5にはロケットからの分離後に衛星を予定の軌道に投入するための上段(Upper Stage:アッパーステージともいう。注記参照)の「遠征2号」と技術試験衛星「実践17号」が搭載された。これらも含め、今回の打ち上げで使われ、実証された、あるいはこれからの運用で実証する予定の技術は数多い。これは中国が21世紀に入ってから集中的に技術開発を行ってきたことの現れだ。

「上段」は衛星を軌道に柔軟に投入する“宇宙のタグボート”

 「上段」は、ロケットの上に追加された“プラス1段”とも言える。自らの位置や速度を検出して所定の軌道に導く慣性誘導機能と、複数回の着火が可能なロケットエンジンを装備している。通常はロケット側の最終段の上、衛星の下に搭載され、ロケットからの分離後は、内蔵の慣性誘導機能を使って位置を把握し、必要な場所で必要なだけの噴射を行って、衛星を所定の軌道まで持っていき、分離する。分離後の上段は、通常はさらなる噴射を行い、邪魔にならない軌道に入れたり、地球に再突入する軌道に入れて投棄する。つまり上段は、衛星を所定の軌道に導く“宇宙のタグボート”である。

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「中国が宇宙で見せた技術力と“商売上手”っぷり」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師