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日本の宇宙開発を「準天頂衛星システム」で占う

全くの無駄になるか、国際競争力を持つか

2017年1月1日(日)

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お正月限定企画として、日経ビジネスの人気連載陣に、専門分野について2017年の吉凶を占ってもらいました。
今年はどんな年になるでしょう。
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 2017年の日本の宇宙開発、私は「小吉」と判断する。

 ただし、この小吉には、ひとつ間違えれば凶に転ずるたくさんの留保が付いている。その多くは「国家が行うその投資は、本当に役立つものとなるのか」だ。

 その一例として、今年3機の衛星を打ち上げて、本格的にシステム展開を行う「準天頂衛星システム」を取り上げる。約1700億円(国庫債務負担行為で確定している投資額)という、少なからぬ国家予算を投じるこの計画は、やり方次第でまったくの無駄にも、国際競争力を持つ売り物にもなるからだ。

日本の真上から測位のための電波を落とす

 最初に(新年早々恐縮だが)お勉強だ。

 準天頂衛星システムは、3個の衛星を用いて、24時間いつでも、日本のほぼ直上から測位信号を落とす(準天頂軌道という衛星軌道に3機の衛星を打ち上げ、交代で8時間ずつ機能させる。内閣府の解説サイトはこちら)、という測位衛星システムだ。

 といっても、よく誤解されるが、この段階では日本単独で測位機能を提供する能力はない。役割は、米国の測位衛星システムGPS( Global Positioning System)の補完だ。

 どういう意味か? GPSは最低4機の衛星から送信される電波を受信することで、受信機の三次元的な位置を測定する。GPS衛星は軌道傾斜角55度、高度2万200kmの軌道で24機が稼働しており、日本では完全に空が開けた場所では常時6~10機の衛星からの電波を受信できる。が、山岳などの地形やビルなどの建築物に遮られると、4機の衛星からの電波を同時に受信することが難しくなる。

 準天頂衛星システムは、GPS衛星からの測位信号と互換性のある測位信号を、日本の真上から送信する。真上からだから、地形や建築物に遮られずに受信できる衛星がひとつ増えることになって、米国のGPS衛星と“合わせて”、より確実に自分の位置を知ることができるようになる。そういう仕組みだ。

 現在、準天頂衛星の試験機「みちびき」(2010年9月11日打ち上げ)が軌道上にあり、測位技術の試験に使われている。2017年に打ち上げられる衛星は3機で、2機が準天頂軌道に打ちあげられ、みちびきと合わせて3機一組で日本直上を8時間交代でカバーする。残る1機は静止軌道から測位信号を送信する。2023年度に、さらに準天頂軌道衛星2機と静止衛星1機を打ち上げ、衛星7機で構成される最終的なシステムが完成する予定となっている。

 7機体制になると、東アジアからオセアニア地域では準天頂衛星システムからの測位信号のみで測位が可能になる。全7機の準天頂衛星システムに含まれる静止衛星2機は、独自測位に向けた衛星だ。見上げた空になるべく大きな三角を成すように測位衛星が見えると、精度が良くなる。準天頂軌道の衛星は、日本から見ると真上から南にかけての空を24時間周期で8の字を描いて行ったり来たりする。そこで日本からは東の空と西の空に見える静止軌道位置に衛星をそれぞれ1機打ち上げる。すると、天頂から南の空にかけて大きな三角を成すように衛星が見えるようになるわけだ。

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「日本の宇宙開発を「準天頂衛星システム」で占う」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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