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中国の「越境拘束」、タイや香港で続発の脅威

中国に屈した周辺国で「知識人狩り」止まらず

2016年1月27日(水)

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 以前、このコラムで紹介した銅鑼湾書店関係者失踪事件は、恐れていたことが現実になった。中国当局が筆頭株主の桂民海(桂敏海)と李波を拘束していることを認めたのだ。タイのパタヤにいたスウェーデン国籍の桂民海や、香港にいた英国籍の李波が、中国公安当局の手元にいる。しかも、そのあとも、タイでネットニュースサイトの元編集者が忽然と消え、おそらくは中国公安に拘束されていると見られている。香港を含めた東南アジアで、次々と起こる「中国の越境拘束」。日本を含む国際社会は、なぜこの無法を問題視しないのか。事件の続報も含めて、今の中国や中華圏で起きている状況をまとめてみたい。

「中国のテレビで懺悔」の不自然

 10月中旬、タイのパタヤのリゾートマンションから謎の中国人に連れ去れらたと伝えられていた香港の禁書書店・銅鑼湾書店の筆頭株主・桂民海は、1月17日、なぜか桂敏海という漢字一文字を入れ替えた名前で中国公安の拘束下にあることが公式に発表された。中国側によれば桂民海は通名であり、桂敏海が本名であるという。

 例によって1月17日、本人がCCTVのニュース番組中で、罪を認め、懺悔した。彼は自ら2003年に起きた飲酒運転による女子学生死亡交通事故の犯人であることをテレビ画面に向かって告白し、2004年8月に懲役2年、執行猶予2年の判決を受けるも、怖くなって逃亡した。だが、遺族の気持ちを思うとやましくなり、自らの意志で中国に渡り中国公安当局に自首したのだという。

 彼は「この件にスウェーデン政府が干渉することを望まない」と強調。「自分が1人の中国人であると感じている」と涙ながらに訴えた。

 この顛末の不自然さは、多くの人が気づいている通りだ。本当に裁判で執行猶予付きであったならば、桂民海に逃亡の必要性はない。それよりも、2003年の事件について執行猶予付き判決を受けたのは本当に桂民海であったのか。事故記録にある桂敏海の名前と桂民海は同一人物なのか。23歳の寧波紡績学院の女子学生が飲酒運転の車にはねられて死亡したこの事件は当時、中国でも盛んに報じられた。

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「中国の「越境拘束」、タイや香港で続発の脅威」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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