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中国は、なぜ北朝鮮の暴走にキレないのか?

「単独制裁」で牽制しつつ軍制改革邁進の習近平

2016年2月10日(水)

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 日本はあまりなじみはないが、アジアの多くの国々では2月8日は旧暦の正月、つまり春節を祝った。旧暦の大晦日には、爆竹を鳴らしたり花火を打ち上げるのが普通だが、北朝鮮は「人工衛星」と称する長距離弾道ミサイルを発射。中国遼寧省の東港付近では、そのミサイルが天高く昇っていく様子が目視できたようである。ミサイルは沖縄上空を通過したそうだが、国内に被害はなかった。

 平安な一年の到来を願う大晦日に、弾道ミサイルをぶち上げるセンスは、まさに国際社会の神経を逆なでする行為。1月6日に行われた「水爆実験」に続くこうした挑発行為に、一番怒り心頭なのは、普通に考えれば中国ではないだろうか。あたかも、北朝鮮はモランボン楽団のドタキャンから今回のミサイル発射に至るまで、中国を怒らせることが目的、と言わんばかりである。だが、中国の対北朝鮮への怒りの表現は、以前のことを思えば低調だ。どうしてだろう?

遺憾を表明しながら理解者の立場を崩さず

 中国外交部報道官は7日の記者会見で、この北朝鮮「衛星」発射に対する記者からの質問に対してこう答えた。

 「中国側は、朝鮮が宣言した衛星発射について、各方面の反応に注意している。中国側は、朝鮮が宇宙を平和利用する権利を持つと考えているが、しかし目下、北朝鮮のこの権利については、国連安保理決議の制限を受けている。中国側は北朝鮮が幅広い国際社会の反対を顧みず、意地を張って弾道ミサイル技術をもって発射を実施したことに対し遺憾を表明する。

 中国としては、各方面関係者に冷静に対応し、慎重に事を行い、半島情勢の緊張をエスカレートさせるかもしれない行動を取らないよう、共同でこの地域の平和安定を維持するよう望むものである。

 中国側は一貫して、対話と協調を通じてのみ半島の平和安定、長期的な安全が実現できると考えている。各方面は急いで対話を再開し、この局面のさらなるエスカレートを避けるべきである」

 日本メディアは、中国がこれまで使ってこなかった「弾道ミサイル技術」と言う言葉をわざわざ使い遺憾を表明したことで、そうとう中国が頭に来ているのだと解説しているが、一方で、中国は北朝鮮の宇宙平和利用の権利を認めているのだが、国連が反対している、というニュアンスを漂わせ、あくまで北朝鮮の理解者である立場は崩していない。

コメント6件コメント/レビュー

北朝鮮は自分の危うい地政学的立ち位置を巧妙に利用している。中国にとって望ましいのは「従順なキタ」だろうが、いよいよ堪忍袋の緒がきれて、「宮廷クーデター」をしかけるかも知れない。13年のチャン・ソンテク一派虐殺は、中国によるクーデターの未然阻止と想像している。
日米も口では非難するものの、「厄介な北朝鮮」の方がむしろ国益を導きやすいと考えていないだろうか。北が国際的非難を受け、その「後ろ盾」の中国が面子を失うことは、両国にとって悪くはないと思う。いざ北が核を使用する事態以前に、米国にとって政権交代はたやすい。空母打撃群を周辺海域に派遣すれば、あわてた中国がしぶしぶ「処分」をはじめるだろう。
ともかく周辺大国にとって「北」はまだまだ必要であることを、金王朝は十分理解し利用している。
崩壊を希っている北の二千万人民こそ、冷酷な国際関係の犠牲者に違いない。(2016/02/16 05:16)

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「中国は、なぜ北朝鮮の暴走にキレないのか?」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

北朝鮮は自分の危うい地政学的立ち位置を巧妙に利用している。中国にとって望ましいのは「従順なキタ」だろうが、いよいよ堪忍袋の緒がきれて、「宮廷クーデター」をしかけるかも知れない。13年のチャン・ソンテク一派虐殺は、中国によるクーデターの未然阻止と想像している。
日米も口では非難するものの、「厄介な北朝鮮」の方がむしろ国益を導きやすいと考えていないだろうか。北が国際的非難を受け、その「後ろ盾」の中国が面子を失うことは、両国にとって悪くはないと思う。いざ北が核を使用する事態以前に、米国にとって政権交代はたやすい。空母打撃群を周辺海域に派遣すれば、あわてた中国がしぶしぶ「処分」をはじめるだろう。
ともかく周辺大国にとって「北」はまだまだ必要であることを、金王朝は十分理解し利用している。
崩壊を希っている北の二千万人民こそ、冷酷な国際関係の犠牲者に違いない。(2016/02/16 05:16)

▼ どの国に対してもヘイトバイアスがかかっていない、冷静かつ分かりやすい解説をありがとうございました。(2016/02/10 21:32)

福島さんの冷静な分析はそのとおりだと思う。最近ニースで報道されないが、中国は北を隠れ蓑に静かに「南シナ海」の領有化を進行中なのだろう。そして、中国以外の国の「漁夫の利」は許さないという話だがドサクサに紛れるのが得意な中国だから特に気になるのだろう。
念頭にあるのはとりあえず日・米・韓だろう。既に韓国でTHAAD配備を検討する動があるが、早速、中国は韓国に露骨な嫌がらせをしているという話もあるようだ。

中国は日本の「漁夫の利」を一番警戒しているはずだ。最も恐れるのが日本の核武装だろうが、憲法九条の改正も「漁夫の利」認定すると思う。そして具体的な動きがある場合、中国―韓国―日本(サヨク政党、メディア、学者など)が「日本の漁夫の利を許さない大連合」を組んで反対キャンペーンを開始するだろう。恐らく「憲法九条にノーベル平和賞を運動」も例年以上に盛り上がるに違いない。(2016/02/10 18:11)

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三品 和広 神戸大学教授