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「一中原則」米中の駆け引きは、中国の勝利か?

トランプと習近平「強者同士の握手」の行方は

2017年2月15日(水)

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日本の「戦略的人柄」外交は一定の成果を得たが、中国はどんな握手を米国に求めるのか(写真:ロイター/アフロ)

 日本首相の安倍晋三が訪米し、大統領となったトランプと初の会談を行った。印象的だったのは、トランプの力任せの19秒の握手と、それに対する安倍のおどけた表情かもしれない。少年漫画では、よく試合の前に、宿命のライバルが笑顔で力任せの握手を交わし、どちらが強者かを握力でもって相手にわからせようとするシーンがあるが、まさに、あれである。ただ安倍の場合は力任せに握り返すようなことはせず、おどけたような、困ったような表情でそれをやり過ごした。

「戦略的人柄」の見返り

 その漫画に出てくるような画面については、日米の蜜月ぶりを示すと肯定的にとらえた評価と、相手を痛がらせるような挑発的握手を重要な同盟国たる日本首相にしょっぱなにかますトランプの非礼を批判する声と、握手が痛くて長かったことに対してまんざらでもない表情でおどけてみせる安倍の様子を「媚び」「へつらい」だと揶揄する意見があったと思う。個人的な感想をいえば、米中蜜月というのは、今のところ日本の「媚び」によって基本的に維持される関係であり、この場合の「媚び」は、戦略的だと容認したい。「戦略的媚び」といってもいいし、媚びという表現が悪ければ「戦略的人柄」と言い直してもいい。

 導火線がだんだん短くなってきている火薬庫みたいな半島や、内政問題と外交的圧力の狭間でいつ何をするかわからない覇権主義の中国と海一つ隔てたところにいながら、正規の国防軍もなければ正規の諜報防諜機関もない、か弱き日本の首相がプライドばかり高くてもしょうがない。巨額インフラ投資の手土産をもって強国に媚びたその見返りが、北朝鮮の弾道ミサイル発射をうけて、パームビーチで開かれた共同記者会見での「米国は100%日本とともにある」との大統領発言であり、マティス米国防長官訪日の際の尖閣諸島の防衛が日米安保の適用範囲であるとの言明だ。

 高いか安いかは、まだ何ともいえないが、当面の外交方針としては間違ってはいまい。もちろん日本の安全保障政策設計の最前線にいる人たちは、この「安心」を鵜呑みにして、ほっとした気分に浸ってはいけない。

 それよりも気になるのが、安倍訪中直前に行われた米中首脳電話会談だ。このタイミングで、トランプは中国を思いっきり揺さぶった「台湾カード」をあっさり引っ込め、「一つの中国」(一中)原則を尊重することを言明したのはなぜだろう。

コメント15件コメント/レビュー

福嶋さんの本日の御指摘2点は、当り前の事ですが、国際政治では最重要な指摘です。一つは、「強者こそが強者と平等に対話する権利があるのだ」という中国側の指摘。そしてもう一つは「正規の国防軍もなければ正規の諜報防諜機関もない」日本という定義です。
力こそ正義の国際政治において、日本は真っ当な国家ではありません。通常、国家は、国際政治に関わる際のリソースとして、軍隊と諜報機関と外交機関の三つを動員しますが、我が国は、この三つの内、二つが不存在で、残る一つの外務省は国益意識の極めて希薄な集団です。
日本の多くの政治学者は、国際政治についての基本的な事実認識が出来ていません。東大初め有名大学の多くの教授達は、自ら国際政治の厳しさを経験することがなく、大学の中の安全地帯での空想的な主張で生きていけるために、国際政治を議論するには不適格者が多いと思います。福嶋さんに東大の教授になって欲しいものです。福嶋さんの方が願い下げですかねえ。(2017/02/15 20:09)

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「「一中原則」米中の駆け引きは、中国の勝利か?」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

福嶋さんの本日の御指摘2点は、当り前の事ですが、国際政治では最重要な指摘です。一つは、「強者こそが強者と平等に対話する権利があるのだ」という中国側の指摘。そしてもう一つは「正規の国防軍もなければ正規の諜報防諜機関もない」日本という定義です。
力こそ正義の国際政治において、日本は真っ当な国家ではありません。通常、国家は、国際政治に関わる際のリソースとして、軍隊と諜報機関と外交機関の三つを動員しますが、我が国は、この三つの内、二つが不存在で、残る一つの外務省は国益意識の極めて希薄な集団です。
日本の多くの政治学者は、国際政治についての基本的な事実認識が出来ていません。東大初め有名大学の多くの教授達は、自ら国際政治の厳しさを経験することがなく、大学の中の安全地帯での空想的な主張で生きていけるために、国際政治を議論するには不適格者が多いと思います。福嶋さんに東大の教授になって欲しいものです。福嶋さんの方が願い下げですかねえ。(2017/02/15 20:09)

1番目の人。

>今回の首脳会談の評価はマスコミではボロクソに言われています。

そうですか?
海外メディアはもっと辛辣のようですが、彼らはさらに「おかしい」ということ?(2017/02/15 14:53)

ここで言われている「強者」の意味には注意が必要です。トランプ大統領は米国をほぼ2分する支持者により大統領になったわけで、支持基盤は強固でない「強者」です。
また、習近平総書記は中国共産党の独裁体制の頂点に居る「強者」です。どちらもいつ国民からの不満が噴出し、失脚するか分からない「強者」という不確定要素を固定したものとして、日本の安倍首相(または他の人かも知れないが)に、同様の強者の外交をするべきという思考は、国の力と外交を単純化し過ぎだと感じます。(2017/02/15 14:14)

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