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蕭建華失踪事件から読む「習近平vs曽慶紅」暗闘

「カネの流れを知る男」を巡る駆け引き、激化か

2017年3月1日(水)

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大富豪・蕭建華氏は香港の五つ星ホテル、フォーシーズンズホテルから行方不明に。この失踪の意味することとは?(写真:ロイター/アフロ)

 今年の秋はいわずもがな、第19回党大会が控え、権力闘争が激化しているのだが、その第一ラウンドは、習近平VS曽慶紅ではないかという見方が出ている。一般に、第19回党大会前の権力闘争のみどころは三つあるといわれている。すなわち、①広東省党委書記の胡春華の進退、②党中央規律検査委員会の王岐山の進退、③国家副主席の李源潮の進退、がどうなるか、である。いずれも、権力闘争の軸は習近平VS共青団派の文脈で観察されている。

 胡春華は共青団のホープで、ポスト習近平と目されている。李源潮は太子党かつ共青団(共産主義青年団)の実力派であり、このまま次の党大会で政治局常務委員会入りするとすれば、習近平に大いにプレッシャーを与える存在だ。習近平は党大会前に、彼らを失脚させて共青団の影響力を削ぎ、本来引退年齢となる王岐山を続投させ、習近平3期目に向けた布石を打って、習近平独裁体制確立に向けた道を開きたい、であろうと見られている。

香港から垣間見える中央の対立再燃

 だが、その前に、太子党の影のラスボスと言われている曽慶紅らと習近平の対立が再燃してきた、というのである。春節イブ(除夕)に起きた、香港の大富豪にして、中国金融の裏ボス、ホワイトグローブス(白手袋、汚れた手を隠すために白手袋をする人、金融の裏仕事請負人)と呼ばれる蕭建華の失踪事件(おそらくは中国当局による拉致)の背景に、習近平vs曽慶紅の闘争があるらしい、というのだ。

 蕭建華は、90年代から00年代にかけて曽慶紅ファミリーはじめ太子党子ファミリーの天文学的蓄財に貢献した人物であるだけでなく、2015年夏の上海株暴落をリモートコントロールしていたとささやかれている。また、2012年に、ブルームバーグが習近平ファミリーの不正蓄財疑惑を報じたあと、習近平の姉の持ち株を、習近平ファミリーを救済するという建前で購入するも、その件をニューヨークタイムズ紙にすっぱ抜かれたという因縁もある。さらに、今の習近平政権にとって最大の悩みの種であるキャピタルフライトに歯止めをかけるキーマンという指摘もあった。

 果たして蕭建華失踪事件の背後にはどのような事情があるのか、それが秋の党大会にどのような影響力を与えるのか。久しぶりに香港ゴシップをネタにしてみたい。

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「蕭建華失踪事件から読む「習近平vs曽慶紅」暗闘」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師