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王毅外相が「精日は中国人のクズ」と激怒した訳

「精神的日本人」の増加に焦る習近平“終身”政権

2018年3月14日(水)

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 日本語が流暢で、私が現役の北京特派員記者であったとき外務次官であった王毅は、当時はむしろ日本人記者にとっては親しみやすい知日派外交官であった。それが、習近平政権になってからの王毅は「精日」問題に限らず、日本について嫌悪を丸出しにして語るようになった。その豹変について、いろいろ分析する人はいるのだが、最終的には王毅こそが、中国官僚、あるいは中国人の典型であろう、という意見でまとまるのだった。

知日派外交官から転向

 権力闘争が激しい中国では、政治の趨勢に敏感に立ち居振る舞いを変えていかねば生き残れない。特に習近平政権は発足直前に日本の尖閣諸島の国有化問題という痛恨の外交的屈辱を見たために、当初から対日観は厳しい。王毅のように知日派で売っていた外交官としては、焦り不安になったはずだ。

 だが、習近平は王毅を外相に抜擢。その目的は、当時の馬英九政権下の台湾との統一に向けた周辺外交を期待されてであるが、結果的には、台湾では、むしろ反中機運が高まり蔡英文民主党政権が誕生した。こうした中で、王毅は習近平の内心を忖度するのに必死なのであろう、と。そういう焦りというか余裕のなさが、こうしたちょっとしたきっかけで、派手に指を立てて憤怒の表情を見せるパフォーマンスをさせるのだろう、と昔の王毅を知っている人はやや同情的に見ているのである。

 こうした外相の不安や焦りは、そのままの中国の焦り、習近平の焦り、と重なる。全人代で習近平終身国家主席の根拠となる憲法修正案が、賛成票2958票、反対・棄権票5票という圧倒的多数で可決したが、この憲法について、代表たちが心から支持しているのかというと、必ずしもそうではないという感触を私は得ている。

 そもそも全人代代表にはさほど発言力も権限もない。今後は新たに創設される国家監察員会を通じて、政治家、官僚たちは党員であるなしにかかわらず粛清の対象となる。その緊張感から、党内ハイレベルから庶民に至るまで、内心の不安を口に出せない息苦しさがあることは、そこそこの情報網を持っている中国屋ならば共通して察している。

 本当に憲法修正案が全面的支持を集めると習近平が自信を持っているならば、もっと討議に時間をかけたことだろう。そういう余裕を見せつける方が権力掌握のアピールにつながる。だが、全人代の約一週間前にいきなり草案を公開して、異論をはさむ余裕も与えずに不意打ち可決した。そうしなければ不安だったのだ。さらには新華社英文記者が速報で「国家主席任期制限を撤廃」という見出しで速報したことを「政治的錯誤」として処分したという。習近平自身が、この憲法修正案が支持されていないことに気づいている証左だろう。

コメント49件コメント/レビュー

特に中国、韓国は平和条約締結国なのに戦前の日本の政治体制を批判することで、民衆をまとめる手法はもう、これだけインターネットや華僑の情報で現代の民衆には通用しなくなってきていることに気づいてきている危機感の表われであると思われる。一番嫌うであろう帝国主義てき行動に出るのは理解できない。(2018/03/29 11:20)

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「王毅外相が「精日は中国人のクズ」と激怒した訳」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

特に中国、韓国は平和条約締結国なのに戦前の日本の政治体制を批判することで、民衆をまとめる手法はもう、これだけインターネットや華僑の情報で現代の民衆には通用しなくなってきていることに気づいてきている危機感の表われであると思われる。一番嫌うであろう帝国主義てき行動に出るのは理解できない。(2018/03/29 11:20)

でも中国の人って、民主主義のために戦わないですよね。あえて戦わないことを選んでる。

これって儒教的な思想が身に染みついていて上には逆らわないからでしょうか?例えば中国の会社を見ていると上司や上役は部下や役職が下の者に対して絶対権力を持っていますよね。何をしてもいいというか。簡単に言うと、日本に来てお店の店員を怒鳴りつけている中国人がこの典型かと。

要は、中国人は上には逆らわない。これを前提として、果たして中国人は民主主義を望んでいるのかというのは、それでも疑問があると思うのです。筆者の周囲は知的な人が集まっていると思いますから当然皇帝には反対でしょう。ですが、大半の普通の人たちは違うのではないでしょうか。

NBの専門家は皆して中国人が皇帝を望んでいるわけではないといっていますが、現実とズレていますよね。現実には皇帝が誕生している。ネットの発言はvocal minorityの場合が多いです。

皇帝を望んでいないというなら、民主主義のために戦わない理由を説明して欲しいです。要は、皇帝は中国の社会や人にとって都合がいいのではないでしょうか?(2018/03/21 14:35)

中国もいよいよ,「登り龍」の勢いを失い,「普通の大国」になりつつあるということではないだろうか。ただし,その過程が必ずしも平たんなものではなく,これまでの政策に包含されていた矛盾が表面化し,一歩間違えれば混乱・混沌の奈落に落ちかねない状況が垣間見える。王毅の激怒も自己保身だけではないだろう。知日派で親日ととられかねない立場の危うさは自覚しているだろうが,彼も周恩来や孫文と同じように,極東にあってほとんど唯一西欧列強にあからさまな蹂躙を受けなかった国(太平洋戦争で結果的に蹂躙されたが)に憧憬と尊敬をもって自国の未来のために何かを学び取ろうとしたのだろう。
 翻って,「精日」はそうした「志」を持たない単なる不満分子で,なおかつ革命の辛酸を直接なめていない「甘い世代」に対する苛立ちを王毅は感じたのではないだろうか。世代的には理解できるが,現代の中国の世界における位置づけに基づいて考え,そうした「世界の中の中国」を考える世代と世代間ギャップが起きているとも考えられる。中国人民の多様性,個人の充実が進んだことは喜ばしいことだろう。だが,それが共産党政権の不安定化につながりかねないという矛盾に対する危機意識の大きさを改めて感じさせる記事だ。「登り龍」が「迷い龍」になりはしないかと心配になる。
迷い出る先が「心のふるさと」と当てつけられた我が国に数千万の単位で押し寄せられるのは悪夢以外の何物でもない。今後のリポートに注目したい。(2018/03/19 17:43)

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