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王毅外相が「精日は中国人のクズ」と激怒した訳

「精神的日本人」の増加に焦る習近平“終身”政権

2018年3月14日(水)

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記者会見後、王毅外相は「精日」への怒りを露わにした(写真:ロイター/アフロ)

 全人代会期中の恒例の外相記者会見で、日本で一番話題になったのは半島問題でも貿易問題でもなくて、「精日」問題、つまり精神的日本人、中国人の精神の日本人化問題で、激怒したことであった。

 「精日」(精神的日本人)とは近年使われるようになったネットスラングで、「自分は中国人だが精神的には日本人」を主張する若者を指し、中でも近代史における日本の役割を肯定し、中国の抗日精神を否定している点が、日本サブカル好き・哈日族と一線を画している。

 旧日本軍人コスプレの中国人コスプレイヤーが自撮り写真をネットにアップして拘留されるなどの事件が年明けにもあり、中国で社会問題化していた。そこで、王毅外相の発言があり、今年の全人代では「精日」を取り締まるための法整備も議論されている。

 では、なぜ今になって精日とよばれる中国人の若者が目立つようになってきたのか。今までの中国における日本ブームとどこが違うのか。

 習近平政権になって明らかに、政治的には日本に対して敵対的な外交方針であり、国内の日本関係研究者や作家ら知日派知識人は有形無形の厳しい圧力を受けていると聞いている。そうした時代の空気に反発するように若者が、日本の軍人や武士のコスプレをするのは、単にアニメや映画の影響というだけではあるまい。その背景というのを少し考えてみたい。

「そいつは中国人のクズだ!」

 まず会見のやり取りを振り返ろう。

 実は「精日」問題のやり取りの部分は、人民日報の公式報道では書き起こされていない。

 新華社記者の最後の質問に答えて、会見を締めた後、江蘇省紙の現代快報記者が立ち去ろうとした王毅に向かって、大声でこう質問したのだ。

 「外相! 最近の“精日”分子による民族のボトムラインを挑発する絶え間ない言動をどう思いますか?」

 すると、王毅は嫌悪を隠そうともしないで、「そいつは中国人のクズだ!」と人差し指を振り上げながら吐き捨てたのだった。

 さすがに公式の会見での発言ではないにしろ、カメラの回っている前での大臣の「クズ」発言はインパクトがあった。全人代の閣僚会見は、中国メディアも外国メディアも事前に質問事項を提出するので、おそらく、現代快報のこの質問は公式には却下されたのだろう。そもそも、全人代の舞台で外相に聞くような質問ではない。

 だが、予定稿どおりの会見やり取りが続いた後で、王毅の憤怒の表情を引き出した現代快報記者に対しては、メディアとしてはグッドジョブといいたい。その表情に、今の中国の焦りも見えた気がしたからだ。

コメント49件コメント/レビュー

特に中国、韓国は平和条約締結国なのに戦前の日本の政治体制を批判することで、民衆をまとめる手法はもう、これだけインターネットや華僑の情報で現代の民衆には通用しなくなってきていることに気づいてきている危機感の表われであると思われる。一番嫌うであろう帝国主義てき行動に出るのは理解できない。(2018/03/29 11:20)

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「王毅外相が「精日は中国人のクズ」と激怒した訳」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

特に中国、韓国は平和条約締結国なのに戦前の日本の政治体制を批判することで、民衆をまとめる手法はもう、これだけインターネットや華僑の情報で現代の民衆には通用しなくなってきていることに気づいてきている危機感の表われであると思われる。一番嫌うであろう帝国主義てき行動に出るのは理解できない。(2018/03/29 11:20)

でも中国の人って、民主主義のために戦わないですよね。あえて戦わないことを選んでる。

これって儒教的な思想が身に染みついていて上には逆らわないからでしょうか?例えば中国の会社を見ていると上司や上役は部下や役職が下の者に対して絶対権力を持っていますよね。何をしてもいいというか。簡単に言うと、日本に来てお店の店員を怒鳴りつけている中国人がこの典型かと。

要は、中国人は上には逆らわない。これを前提として、果たして中国人は民主主義を望んでいるのかというのは、それでも疑問があると思うのです。筆者の周囲は知的な人が集まっていると思いますから当然皇帝には反対でしょう。ですが、大半の普通の人たちは違うのではないでしょうか。

NBの専門家は皆して中国人が皇帝を望んでいるわけではないといっていますが、現実とズレていますよね。現実には皇帝が誕生している。ネットの発言はvocal minorityの場合が多いです。

皇帝を望んでいないというなら、民主主義のために戦わない理由を説明して欲しいです。要は、皇帝は中国の社会や人にとって都合がいいのではないでしょうか?(2018/03/21 14:35)

中国もいよいよ,「登り龍」の勢いを失い,「普通の大国」になりつつあるということではないだろうか。ただし,その過程が必ずしも平たんなものではなく,これまでの政策に包含されていた矛盾が表面化し,一歩間違えれば混乱・混沌の奈落に落ちかねない状況が垣間見える。王毅の激怒も自己保身だけではないだろう。知日派で親日ととられかねない立場の危うさは自覚しているだろうが,彼も周恩来や孫文と同じように,極東にあってほとんど唯一西欧列強にあからさまな蹂躙を受けなかった国(太平洋戦争で結果的に蹂躙されたが)に憧憬と尊敬をもって自国の未来のために何かを学び取ろうとしたのだろう。
 翻って,「精日」はそうした「志」を持たない単なる不満分子で,なおかつ革命の辛酸を直接なめていない「甘い世代」に対する苛立ちを王毅は感じたのではないだろうか。世代的には理解できるが,現代の中国の世界における位置づけに基づいて考え,そうした「世界の中の中国」を考える世代と世代間ギャップが起きているとも考えられる。中国人民の多様性,個人の充実が進んだことは喜ばしいことだろう。だが,それが共産党政権の不安定化につながりかねないという矛盾に対する危機意識の大きさを改めて感じさせる記事だ。「登り龍」が「迷い龍」になりはしないかと心配になる。
迷い出る先が「心のふるさと」と当てつけられた我が国に数千万の単位で押し寄せられるのは悪夢以外の何物でもない。今後のリポートに注目したい。(2018/03/19 17:43)

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