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習近平は「十日文革」で“友達”を失った

「鬼平」「軍師」「大番頭」が消え、揺らぐ足元

2016年3月30日(水)

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写真は2015年3月の王岐山(左)と習近平。今年2月に起きた「任志強バッシング事件」をきっかけに、2人の関係に亀裂が?(写真:ロイター/アフロ)

 習近平と王岐山の関係に亀裂が走っている、という話を聞いた。“十日文革”と揶揄される任志強バッシングがそのきっかけだという。任志強は王岐山の幼馴染にして今なお深夜に電話で話し込むような大親友関係であり、2月以降に盛り上がった任志強バッシング報道は実は王岐山バッシングであったことは誰もが感じとっていたことだろう。私は劉雲山VS王岐山・習近平の戦いの文脈でこの事件を読んでいたのだが、現地の中国の政治ウォッチャーたちが読み解く権力闘争構図はそう単純ではないようだ。

 任志強がどういう人物か、簡単に説明しておこう。

 父親は元商業部副部長まで務めた高級官僚・任泉生。本人は不動産大手・華遠集団総裁を務めたことのある太子党の不動産王である。2014年に企業家から足を洗っているが、中国不動産協会副会長など役職を務める不動産業界のドンであることは変わりなく、また北京市政治協商委員(市議に相当)、北京市西城区人民代表(区議に相当)という役職にも就いている。

「中国のトランプ」を一斉にバッシング

 本人がその回顧録でも明らかにしているように、中央規律検査委員会トップの王岐山と幼馴染で、その親密な関係を隠しもしていない。王岐山は言うまでもなく、習近平政権の反腐敗キャンペーンを指揮する“中国汚職改筆頭”の“鬼平”であり、官僚・企業家たちから蛇蠍のごとく嫌われ恐れられている人物であるが、その王岐山の親友であることを背景に、任志強は“中国のドナルド・トランプ”のあだ名がつくほどの放言癖がある。

 中国の大手メディアが足並み揃えて一斉に“任志強バッシング”を始めたきっかけは2月19日。習近平が党総書記としてCCTV、人民日報、新華社を視察に訪れたとき、CCTVが習近平に忠誠を誓っていることをアピールするために、テレビ画面に大きく「CCTVの姓は党、絶対忠誠を誓います。どうぞ検閲してください」と卑屈な標語を掲げたことに対して、任志強が「人民の政府はいつ党の政府になった?」「すべてのメディアの姓が党になって人民の利益を代表しないようになったら、人民は忘れ去られて片隅においやられるんだ!」といった批判をネットの微博上でつぶやいた。

 この発言は、ネットユーザーらのみならず、体制内知識人にも大いに受けた。任志強は党中央メディアの卑屈な習近平擦り寄りぶりを批判しているのだが、その本質は個人崇拝をメディアを通じて仕掛けている習近平自身に対する批判でもある。

コメント6件コメント/レビュー

事実だとしたら大スクープが載っています。曽慶紅に諭されて劉源が自ら辞退した、との事が、それです。情報源は何なのでしょうか?まず曽慶紅が諭したとされる言葉が詳細に記されてますが、曽慶紅、劉源、その場にいた第三者が口外したということですか?その情報が伝聞されてメディアに載ったのですか?それとも独自情報源?自ら辞退したとは、いつの時点?10月の中央軍委の前?後?、11月の中央軍委の前?後?記事の根幹なす重大情報なのに、それらが記述されていないのが非常に残念です。検証されるべき大スクープであります。(2016/08/26 07:48)

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「習近平は「十日文革」で“友達”を失った」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

事実だとしたら大スクープが載っています。曽慶紅に諭されて劉源が自ら辞退した、との事が、それです。情報源は何なのでしょうか?まず曽慶紅が諭したとされる言葉が詳細に記されてますが、曽慶紅、劉源、その場にいた第三者が口外したということですか?その情報が伝聞されてメディアに載ったのですか?それとも独自情報源?自ら辞退したとは、いつの時点?10月の中央軍委の前?後?、11月の中央軍委の前?後?記事の根幹なす重大情報なのに、それらが記述されていないのが非常に残念です。検証されるべき大スクープであります。(2016/08/26 07:48)

習主席は権力の集中を進めている段階とか権力の集中が完了しつつあるなど、日本のマスコミは上辺の報道に終始していた。権力集中はどこかの段階で完了したと思うが、福島さんの指摘――「習近平のために泥をかぶる者は、もういない」という現状から、権力の維持が今後も可能なのか疑問符が付く。権力構造の混乱や崩壊は日本にとっても決して歓迎すべきものではなく、心配だ。

タイムリーに中国情報を発信し続けておられる福島さんに感謝する一方、総務大臣の発言に言論統制とか憲法違反だとかいつまでもイチャモンをつけ続けている著名なジャーナリストの皆さん――中国の異常な言論・メディア統制の現状とその危険性について、何らか発言したらどうかと言いたい。中国の国内問題とは言え、その影響力の大きさは見過ごせないはずだ。

関連するテーマでもあるので、ジャーナリストとして気概を見せたらどうかと思う。先日皆さんが行った外国人記者クラブでの会見で、中国のテレビ局の記者から「記者クラブについては?」と質問されて、どなたかが「記者クラブ制度に助けられてきたので言いづらいが廃止すべきだ」と能天気に答えていたことは余りにも情けなさ過ぎると感じた。(2016/03/31 08:29)

 絶対的権力を確立しようとして、次第に孤立し、益々暴君の如く振る舞わざるを得なくなる習金平。
 北朝鮮の金正恩もそうですが、悪名高い古代のローマ皇帝達を連想してしまいました。
 今回の福島さんの記事は、いつもに増して興味深く読ませてもらいました。我が国への脅威を考えれば、面白がっていてはいけないのでしょうが...(2016/03/31 01:21)

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