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中国は「亜文革」時代に突入した

50年前の「文革」と違うこと、変わらぬこと

2016年5月18日(水)

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50年前の「文化大革命」と何が違い、何が変わらないのか(写真:Paolo KOCH/RAPHO/アフロ)

 先日の5月16日は文化大革命が開始された、俗に言う5・16通知が政治局会議で可決した日である。この日をもって文化革命小組が改めて組織され、文化大革命という名の大衆を巻き込んだ権力闘争が開始された。ちょうど50年前のことである。

 ところで、この50年前の出来事が、過ぎた歴史事件として笑い飛ばせない状況である。2014年10月に文芸工作座談会が行われて以来、習近平夫人の元軍属歌姫・彭麗媛が芸能界を牛耳るようになると、文化・芸能を通じた政治宣伝が活発化した。

 とくに習近平の個人崇拝的なものが目立ちはじめ、たとえば今年の春節(旧正月)の大晦日に行われた中国版紅白歌合戦と称される「春節聯歓晩会」などは、もとは庶民の年末の娯楽番組に過ぎなかったのに、あからさまな習近平礼賛色番組になってしまった。

 また有名な革命劇「白毛女」が彼女の演出で2015年、3D歌劇として復活上映されると、「紅頭文件(党内部通知文書)」で党幹部たち全員が見るように通達されたりもした。中国の一部知識層の間では2014年秋以降を、プチ文革(亜文革)、彭麗媛の江青(毛沢東夫人、文革を主導した一人)化などとささやかれている。

 なので、5月2日に人民大会堂で行われた「五十六朵花」(56フラワーズ)という純国産少女アイドルグループによる“文革コンサート”も、習近平と彭麗媛の仕掛けるプチ文革現象の一端かと思った。だが、どうやら、もう少し複雑な背景がありそうである。

元軍属歌姫と、56フラワーズと

 このコンサートの演出、選曲はすべて、文革時代を彷彿とさせるようなものだった。紅衛兵が毛沢東を礼賛するように少女たちが右手を掲げて、「社会主義好!」や「共産党が無ければ新中国はない」といった革命楽曲、「大海航行は舵手に任せよ」といった文革楽曲、果てには習近平総書記に捧げる「肉まん屋」「あなたを何とお呼びすればよいのか」といった楽曲を毛沢東のイラストや習近平の映るニュース映像などをバックに映し出した舞台でオーケストラに合わせて合唱し、踊ったのだから。

 このグループ自体は、日本発のAKB48や、AKBをプロデュースした秋元康が手掛けた中国人少女アイドルグループSNH48などに対抗して、文化部傘下の東方文化芸術院宣伝部に属する民間芸能グループとして発足。解放軍芸術学院や中央民族大学付属高校などから16歳~23歳、身長175センチの少女50人以上を集めた世界最大の少女アイドルユニットという。お披露目記者会見のニュースでその姿を初めてみたとき、私もラジオ番組などで話題に取り上げたが、なんともあか抜けず、もっさりした印象を持っている。ちなみにプロデューサーも、入団には顔やスタイル、セクシーさは必要ない、と語っている。

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「中国は「亜文革」時代に突入した」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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