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ロボット100万台と工員14人飛び降りの因果

鴻海の中国工場で、まずは工員7万人を削減

2016年6月3日(金)

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 中国の国営ラジオ放送局“中国人民広播電台(中央人民放送)”のウェブサイト“央広網(ネット)”は5月26日付で、「ロボットの展開で富士康昆山の工員11万人が5万人に削減」と題する記事を掲載した。「富士康昆山」とは“富士康科技集団(英文名:Foxconn)”(以下「富士康」)の江蘇省“昆山市”にある工場を指す。その概要は以下の通り。

ロボットが人に取って代わる現実

【1】ロボットが人間に取って代わることは、いまや趨勢ではなく、広く展開されている現実である。富士康はすでにロボット技術を採用し、昆山工場の工員を2013年の11万人から5万人まで削減し、人件費の大幅な削減に成功した。

【2】典型的な労働集約型企業である富士康に対する外部の印象は、無数の生産ラインがあり、出入りが激しい工員と厳しいコスト管理下で行われる連続の超過勤務である。しかし、周期的な工員不足、人的コストの上昇に伴う工場の遠隔地への移転などの各種圧力に直面して、富士康は生産形態の転換なくしては破滅に至ることを認識していた。それなら、どうやって行員数を半減して、営業額を増大させることができるのか。

【3】仮に一般工員の給与を年間5万元(約85万円)、工業用ロボットの市場価格を約12万元(約204万円)とした場合、生産ラインの改造を通じて、多数の工員をロボットに置き換えることができる。ロボットは24時間操業を可能とするし、誤差は小さく、製品率はさらに高いので、3年程度で富士康昆山工場は削減あるいはその他の方法で工員を半分に減らすことができる。

【4】江蘇省昆山市のほか、浙江省、広東省などの東部、東南部の経済発展地区でもますます多くの地域でロボットが人に取って代わる現象が出現している。広東省の2015年を例に挙げると、ロボットの保有量は4.14万台で、全国の18.8%を占め、全世界の2.49%であった。そのうち、2015年に新たに増加したロボットは1.82万台で、全国の4分の1、全世界の6.9%を占めた。一口で言えば、広東省はロボットが人に取って代わる有力な省になりつつある。

【5】ロボットの導入が盛んになっている背景には、労働力市場の矛盾が浮かび上がる。2015年の1~9月に広東省の定点観測企業2万社における工員不足の平均人数は38人であった。「世界の工場」として名を馳せた“東莞市”はかつて工員不足に悩んだが、ロボットの導入後は工員不足が大幅に緩和された。

コメント10件コメント/レビュー

実は共産主義とロボット生産はとても相性が良い。
ロボット生産への置き換わりが進めば、浮いたお金は国が徴収し、社会保証に回し、貧困者は生活保護で暮らす。
といった昔のSFによくあったアルカディア的社会構造を作る事ができ、これは市場が自由に開放された資本主義には難しい構造でもあるからだ。
が、資本主義社会と市場を共有する「開放された中国」に、その舵取りが出来るだろうか?
ただでさえ汚職と格差が日本以上に悪化している現状を見る限り、それは難しいと考えられる。(2016/08/08 14:54)

「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「ロボット100万台と工員14人飛び降りの因果」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

実は共産主義とロボット生産はとても相性が良い。
ロボット生産への置き換わりが進めば、浮いたお金は国が徴収し、社会保証に回し、貧困者は生活保護で暮らす。
といった昔のSFによくあったアルカディア的社会構造を作る事ができ、これは市場が自由に開放された資本主義には難しい構造でもあるからだ。
が、資本主義社会と市場を共有する「開放された中国」に、その舵取りが出来るだろうか?
ただでさえ汚職と格差が日本以上に悪化している現状を見る限り、それは難しいと考えられる。(2016/08/08 14:54)

今更ながら中国社会の進化の速さに驚かされる。
日本よりも早くロボット化が進み、人間がロボットに駆逐されようとしている。
中国の沿岸地方の工場労働者がロボットに仕事を奪われると失業者は億単位にまで跳ね上がるのではないだろうか。
習政府はそれをどうやって回避・軟着陸させるのか。 また国内の不満を日本叩きでガス抜きを狙うのか。
ますます目が離せなくなる。(2016/06/07 11:14)

消費市場と言う名の共有地で悲劇が始まるんですよー。
でも逃げ場は無いんです。(2016/06/06 13:03)

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三品 和広 神戸大学教授