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プロの消防士がいない中国

天津化学薬品倉庫爆発事故、悲劇の必然

2015年8月19日(水)

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Imaginechina/アフロ

 天津で8月12日に起きた化学薬品倉庫爆発事故(あるいは事件)はすでに死者・不明者が200人を超えている。現地は建設現場従事者や港湾労働者も必要とされる地区なので、地元当局すら、事故発生当時、そこにどれだけの人がいたかを把握していなかったかもしれない。しかし、100人単位の死者を出す人災事故・事件は中国では非常にまれなことではなく、例えば今年、長江クルーズ船の沈没事故も430人以上の死者・不明者を出している。

 ただ、今回の件で特徴的だったのは犠牲者・不明者の約半数が消防士であったことだ。建国以来、一度にこれほど多くの消防士が殉職する火災は初めてである。そして、この爆発自体、消火にあたった消防士の放水が引き起こしたという。本来、火災発生時に市民の生命を守る消防士たちが、最大の加害者であり犠牲者であったこの大惨事の背後にどういった問題があったのだろう。

なぜ化学薬品に放水?

 事件はすでに詳報されていると思うが、簡単に事実関係をおさらいしておこう。

 8月12日午後10時55分ごろ、保税区の瑞海国際物流有限公司の危険薬品倉庫前のコンテナヤードに集積されていた化学薬品コンテナで火災が起きた。港湾警察の連絡を受けて、まず23の消防中隊および93輛の消防車両、総勢600人が出動し消火作業にあたったという。10分ぐらいの放水のあと、ぱちぱちと音がして、燃えていたコンテナが発光し、危険を感じた消防隊は撤退を指示。だがその直後に大爆発が起き、逃げ遅れた消防士たちが多数巻き込まれた。

 爆発の原因は、おそらく消火用放水の水が、コンテナ内の化学物質に反応したことだといわれている。爆発後の現場には水をかけると発火する白い粉があちこちに散らばっていることが確認されている。

 最初の爆発はトリニトロトルエン(TNT)換算で3トン分の爆発に相当し、その30秒後に起きた爆発はTNT21トン分に相当するほどの威力であった。爆発は2分の間に4回起きたという。日本の気象衛星ひまわりからも確認できるほどの威力だった。

 最悪なことに、倉庫内に保管されていた危険薬品の中には水に反応すると青酸ガスが発生するシアン化ナトリウム700トンが含まれ、それらが大気や地下水に流出した。 爆発後も天津消防総隊から1000人以上の消防士が投入されたが、彼らの多くが、その毒ガスの存在を知らされていなかった。爆発現場の倉庫に保管されていた7種の化学薬品にシアン化ナトリウムなどが含まれている可能性が正式に発表されたのは爆発後59時間経ってからであった。

 まず、多くの人たちが、消防隊が化学薬品倉庫の火災を水で消そうとしたことに驚いたかもしれない。素人でも、化学薬品倉庫の火災を放水で消そうとするのは無理があるのではないか、と思うだろう。実は中国の消防士は素人同然だと言われている。

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「プロの消防士がいない中国」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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