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「万里の長城」の修復は、なぜ“お粗末”なのか

保護求める声の一方、地元民による破壊という現実も

2016年9月28日(水)

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「コンクリート補修」で非難を浴びる万里の長城、小河口の風景(写真:Imachinachina/アフロ)

 中国といえば万里の長城、という人も多いだろう。その万里の長城の修復があまりにもお粗末だということで、国内外から非難の声が轟々と上がっている。

 万里の長城というと、八達嶺や慕田峪、司馬台あたりが観光地として有名だろうが、野長城と呼ばれる、修復の手がほとんど入っていない山間部に残る長城跡がほとんどである。だがこれも大変風情があって美しい。山歩きの好きな人は、あえてそういう人気のない、荒れた野長城を訪れることを好むし、いくつかのツアー会社ではそういった野長城ツアーもある。結構、険しい山の稜線にあり、秋口などは遭難の危険性もあるので、単独、ガイドなしでは絶対行ってはいけない。ちなみに、野長城は条例で、眺めるのはよいとしても勝手によじ登ると200元から500元の罰金が科される。ただ、この法律は有名無実化していて、北京郊外の野長城には年間20万~30万人が勝手に登っているとか。

長城保存、力を入れる方向が違う

 万里の長城とはそれほど、ロマンを掻き立てる屈指の石造文化遺産なのである。それだけに、中国文化当局は長城保存に力を入れているのだが、その力の入れる方向がなんか違う。いったい、なぜこうなるのか。

 野長城の修復問題が中国のネットで話題になったのは、2014年に修復された遼寧省中綏中県の小河口長城の写真が9月21日以前、現地を訪れた野長城愛好者のユーザーによってインターネットのSNSの微博にアップされたことがきっかけだった。この写真に写っていた修復部分は、崩れかけた石積の上を平たんに埋め立てるという単純なもので、修復後は明時代の磚(せん=煉瓦)は白いコンクリート状の層の下に隠れ、美観も風情も台無しであった。

 ネットユーザーらの間で「最も美しい野長城をコンクリートで埋め立てた!」と非難の声が上がり、新京報など中国メディアも文化財破壊だという文脈で報じ始めた。CCTVなど中央メディアもこの件を報じ、海外メディアも注目、もともと、一部の野長城マニアにしか知られていなかった小河口長城は、一気に「修復」と言う名のもとで景観を破壊された野長城として国内外に知られるようになった。

コメント30件コメント/レビュー

40年位前はまだ中国は大変遅れていた。中国語を習っていたので、先生のお宅へ招かれた時、部屋に入るなり壁一面に大きく掲げられた万里の長城の写真をみてはっとした。そして、先生は嬉しそうに写真の側にたって誇らしげに長城の説明をされた。心の拠り所としての長城で、異国日本において
長城が中国人として日本に対する文化遺産の優越性を示すものだった。そのあと10数年ほど経て北京の
万里の長城へいってみた。、北京出身の別の先生がいうには’北京在住の中国人はいかない。あそこはお上りさんしかいかないといわれた。中国人民も言論の自由がなくてもお金持ちになれたので長城修繕にお金は使いたくないのだろう。長城が消えたら中国はどうなるのか心配でもある。(2017/01/28 16:14)

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「「万里の長城」の修復は、なぜ“お粗末”なのか」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

40年位前はまだ中国は大変遅れていた。中国語を習っていたので、先生のお宅へ招かれた時、部屋に入るなり壁一面に大きく掲げられた万里の長城の写真をみてはっとした。そして、先生は嬉しそうに写真の側にたって誇らしげに長城の説明をされた。心の拠り所としての長城で、異国日本において
長城が中国人として日本に対する文化遺産の優越性を示すものだった。そのあと10数年ほど経て北京の
万里の長城へいってみた。、北京出身の別の先生がいうには’北京在住の中国人はいかない。あそこはお上りさんしかいかないといわれた。中国人民も言論の自由がなくてもお金持ちになれたので長城修繕にお金は使いたくないのだろう。長城が消えたら中国はどうなるのか心配でもある。(2017/01/28 16:14)

自分たちの文化財を大事にする伝統のあるヨーロッパでも古城の維持・修繕にはかなりの苦戦を強いられているようです。
もっとも原因は資金不足ということはハッキリしており、もし都合良くお大尽なスポンサーさえ見つかれば対応は可能な様です。

一方の中国は、(国レベルで)資金はあっても僻地にある文化遺産を修繕する手法も文化も伝統もない(文革で失われてる)。
そんな状態のところに「大事なものだから修理しろ」と中央から無茶振りされてるのだから担当者は可愛そう。
恐らく、担当者が誰に何処に相談すれば良いのかも分からないまま自分らでできる方法で対応した結果がアレなのでは。

スケールは違いますが日本でも、明治の廃仏毀釈運動の影響で荒れ壊れた石仏の類がセメントで継ぎ接ぎされている姿を見かけます。
一旦廃れた文化が見直されるにつれてこれではイカンと感じた志のある素人が修理したのでしょうが、こちらも大抵は微妙過ぎる修理です。(川越の某有名寺院の五百羅漢とか)

文化財の保持・修繕には高い技術と惜しみない手間と想像以上のカネが必要なのに、原因や経過を無視して結果だけで非難されがちな世界各地の担当者の皆さんに哀悼の意を表します。。。。。(2016/10/12 15:33)

昔,中国人を京都に案内した。平安神宮や金閣,南禅寺,銀閣などを見学した。南禅寺で質問を受けた。文化の違いをかんじてたいへん印象に残っている。「日本人はどうして(南禅寺の)三門をペンキで赤く塗らないのか。汚らしくでみすぼらしい。平安神宮は素晴らしい。」中国と日本は付き合いも長く,交流も多岐にわたってきたはずだ。だが,美意識や価値観は明らかに,時に驚くほど違う。今回の記事は文化や文化財に対する価値観の違いを思い出させた。感慨深い。多くの日本人はそれほど気づいていないかもしれない。福島さんには時々こうした記事を上げてほしい。中国と日本。近くて遠く,それでいて近くもある国。この関係性を少しでも多くの人が理解し,相互に尊重し合って学びあえる関係になるといいと思う。昔は,「生野菜を食べるなんで信じられない。」とか,「魚を生で食べるなんで文明的でない。」とか,ことあるごとに批判された。今では中国人も普通に生野菜を食べ,寿司を喰う。ずいぶん距離が近づいたんだと思う。(2016/10/05 17:48)

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