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中国はハリウッドを乗っ取るのか

あるいは「自由な発想」が中国に入り込むか

2016年10月12日(水)

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大連万達の2つ目のテーマーパークが中国・合肥市に開業。写真中央が王健林(写真:Imaginechina/アフロ)

 「王健林がハリウッドに侵食していると、米国人たちが慌てている」。そういう趣旨の記事が中国国内でも10月初旬に相次いだ。中国一の大富豪にして大実業家の王健林率いる大連万達集団が米テレビ制作会社大手ディック・クラークプロダクションを10億ドルで買収しようとしている、と米紙WSJ(ウォールストリートジャーナル)などが危機感をもって報じたことを受けての記事だ。

 ディック・クラークプロダクションといえばゴールデングローブ賞やアメリカンミュージックアワード、ビルボードミュージックアワードなど、米国映画、音楽文化を代表する賞を主管する。今年1月に、ジュラシックパークなどを制作した米大手制作会社レジェンダリーを35億ドルで買収したことに続いて、いよいよ中国がハリウッド乗っ取りに王手をかけた、このままではハリウッドの魂が中国に奪われてしまう、と米国人が焦るのも当然かもしれない。

 というのも2012年から始まる万達の米映画産業の“爆買い”は、明らかに一企業の経済行為以上の意味があるからだ。つまり中国の文化覇権戦略を背景にした政治的行為とみられるからだ。

グローバルな映画産業で発言力を勝ち取る

 万達集団のハリウッドがらみの買収を時系列にみていくと、まず2012年、米国で二番目に大きい映画館チェーンAMCを26億ドルで買収した。これは万達にとって初の海外企業買収であった。

 続いて、2016年1月、レジェンダリーの買収を発表。この調印式のとき、王健林は「世界の映画産業は少数の米国映画会社に牛耳られている。この買収がその局面を変えることになる」「中国企業にとって、このように巨大で、その一挙手一投足が業界に影響を与えるような大企業を買収できたことは、まさに奇跡」「中国企業はこれからグローバルな映画産業において“話語権”(発言力)を勝ち取っていく」と挑発的な演説を行った。

 また、この直後からハリウッド6大スタジオのうちの一つを買収する意欲をみせ、その6大スタジオの一つ、パラマウント・ピクチャーズの親会社ヴァイアコムがパラマウント株の売却先を探していると知るやいなや、その49%を推定資産価値よりも高い50億ドルで購入する提案を出した。

 結局、ヴァイアコムの創業者の92歳になる大富豪、レッドストーンの強い抵抗で、パラマウント買収計画は頓挫。だが、かわりに、6大スタジオの一つ、ソニー・ピクチャーズの提携を発表した。この提携はソニー・ピクチャーズの一作品につき10%を上限とした出資を行うというもので、万達の影響力は限定的とみられてはいるが、今持ち上がっているディック・クラークプロダクション買収計画となると、これは米国人をかなり焦らせるだろう。

 9月半ば、米下院議員16人が連名で、万達集団の“ハリウッド買収”に反対する意見書を米政府に提出、米政府側も「権限の及ぶ限りで、今後4か月調査を行う」との返答をしたという。

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「中国はハリウッドを乗っ取るのか」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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