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広西チワン族自治区「文革大虐殺」の実相

殺害15万人、人肉食、性暴力…「絶密資料」発掘

2016年10月19日(水)

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 先日、明治大学で同学現代中国研究所主催の「『文革』とは何だったのか」というテーマのシンポジウムが行われた。いわずもがな、今年は中国の文化大革命発動から50周年であるので各地でこの手のシンポジウムが行われているのだが、特にこれに興味をもったのは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の宋永毅教授が「広西チワン族自治区極秘檔案に見る文革大虐殺と性犯罪」について講演すると聞いたからだ。

 文革期に広西チワン族自治区で組織的で凄惨な人肉食を伴う大虐殺が行われたことは、知る人ぞ知る事実である。その事実について、実は共産党として詳細な報告書をまとめていたが、それは「絶密」(絶対秘密)扱いで、長らく公開されていなかった。ところが、今年、宋教授が中心となってその膨大な機密資料が編集され出版された。700万字以上36巻。

 文革というものをとらえるとき、現場で何が起きたか、それを知らないでは語れない。同じ文革でも、北京で起きたことと、内モンゴルで起きたこと、チベットで起きたこと、そして広西チワン族自治区で起きたことは違うだろう。広西チワン族自治区の文革について、この資料や宋教授の講演の内容をもとに、ここで簡単に紹介しておきたい。

なぜここまで残虐を極めたのか

 文化大革命とは1966年から1976年の毛沢東の死まで続き、77年に終結宣言がなされた中国全土で起きた大政治・社会動乱である。大躍進政策の失敗によって政権中枢から退かざるを得なかった毛沢東が、政敵・劉少奇らを失脚させ復権を図るために民衆を扇動して政治動乱をしかけた、というのが一般的な解釈で、その本質は権力闘争ともいわれているが、研究者の中には、もっとマクロな視点から、旧ソ連の社会主義に挑戦する中国式社会主義モデルの提起といった見方や、中国近現代史において唯一権力を公に批判できた時代という意義を見出す考えもある。

 中国国内ではひそやかに文革再評価論も起きているし、農村部では文革時代を懐かしむ声もある。だが、具体的に文革で何が行われたか、という視点でみると、そういう政治論的な研究など吹っ飛ぶような残虐行為のオンパレードだ。政治理想論の建前にしろ、権力闘争にしろなぜ、ここまで残虐である必要があったか、ということの方が重要な本質テーマである気がしてくる。

コメント30件コメント/レビュー

こういうショッキングな記事が出ると、すぐ、だから中国人は…と国民性にかこつける輩がいるが、そういう無自覚な者ほど怖いものはない。
カニバリズムや残虐行為は世界的にも歴史的にも普遍的といっていい。図書館にいけば、カニバリズム歴史の本だってあるくらい。
ただ、文革期の残虐行為は
①比較的、最近のものである
②膨大かつ詳細な記録が現存している
③その当事者や被害者側が生存している
という、集団的暴力のメカニズムを探るには得がたい条件があるのだ、いま、調査解明を行うことで得られるものは少なくない。
今ならISのような集団への対策や、北朝鮮対策になるやもしれないし、何しろ、日本人も対岸の火事と眺めている場合じゃない。
学校や職場におけるイジメやパワハラによる自殺の多さや、ブラック企業が社会的にまだまだ容認されていることから見ても、日本人だけが清く正しく残虐性のカケラもないなど言えない。そうでなくとも安保法案まわりがなし崩しにされているいま、日本人もちょっとしたことでありえない残虐性を発揮する可能性は大いにあるのでは。
文革期の集団ヒステリーとも言える現象にいたった条件とプロセスを深く考察することこそ、大切なんじゃないか。(2016/11/25 00:28)

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「広西チワン族自治区「文革大虐殺」の実相」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

こういうショッキングな記事が出ると、すぐ、だから中国人は…と国民性にかこつける輩がいるが、そういう無自覚な者ほど怖いものはない。
カニバリズムや残虐行為は世界的にも歴史的にも普遍的といっていい。図書館にいけば、カニバリズム歴史の本だってあるくらい。
ただ、文革期の残虐行為は
①比較的、最近のものである
②膨大かつ詳細な記録が現存している
③その当事者や被害者側が生存している
という、集団的暴力のメカニズムを探るには得がたい条件があるのだ、いま、調査解明を行うことで得られるものは少なくない。
今ならISのような集団への対策や、北朝鮮対策になるやもしれないし、何しろ、日本人も対岸の火事と眺めている場合じゃない。
学校や職場におけるイジメやパワハラによる自殺の多さや、ブラック企業が社会的にまだまだ容認されていることから見ても、日本人だけが清く正しく残虐性のカケラもないなど言えない。そうでなくとも安保法案まわりがなし崩しにされているいま、日本人もちょっとしたことでありえない残虐性を発揮する可能性は大いにあるのでは。
文革期の集団ヒステリーとも言える現象にいたった条件とプロセスを深く考察することこそ、大切なんじゃないか。(2016/11/25 00:28)

 数十年前、中学校では、文化大革命は明るい明日の中国を築く毛沢東主席が推し進めた光り輝く革命と習ったような記憶があります。本当の文化大革命は無惨なものだったのですね。(2016/11/03 17:36)

ヒトは、自分がした事、あるいはするであろう事は、他人もするに違いないと考える。
だから、日本人がしないような事が、おおっぴらに、まことしやかに言いふらされたりする。
そりゃあ、自分たちがヤッてるんだから、リアリティあるでしょう。
誰とも何処とも言いませんが。
三光作戦とか、辻も石原も言いださんわ。(2016/10/21 16:18)

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