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日中首脳会談「習近平の笑顔」の狙いは?

なぜ今「関係改善の兆し」が強調されるのか

2017年11月15日(水)

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日中両国の国旗の前で、習近平主席が笑顔を見せる。その狙いは?(写真:新華社/アフロ)

 ベトナム・ダナンで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議の場で行われた日中首脳会談は珍しく、習近平(シー・ジンピン)の愛想がよかった。これをもって日中関係の改善の兆し、と報じているところもある。本当にそうなるのだろうか。そうなるとしたら、何が要因なのか、ということを考えてみたい。

「国旗入り写真」の意味は

 11月11日夕、APEC首脳会議が開かれたダナンで、安倍晋三と習近平が会談した。いつになく習近平は上機嫌で、安倍に笑顔を向けて握手。またプレス向け写真も、背景に日中の国旗を入れたものだった。それまでは中国はわざと国旗を入れない写真を撮り、習近平がいかにも仏頂面で、偉そうな態度を見せているような写真を選んでいた。

 これをもって、 中国メディアも日本メディアも、いよいよ日中改善の兆し、「日中関係の新しい始まり」と報じている。果たしてこれは、尖閣諸島漁船衝突事件以来続いている日中関係氷河期の雪解けと受けとっていいのか。

 報道を総合すると、会談では両首脳は北朝鮮問題で協力を強化することで一致、早期に日中韓首脳会議を開催できるよう尽力するとした。また日中の懸案となっている海空連絡メカニズム(艦船や航空機による偶発的な衝突が起きるのを防ぐため、防衛当局間で緊急に連絡を取りあえるようにする仕組み)の早期確立についても共通認識を得た。日中が第三国の市場においてのビジネス協力を行っていくことも日本側から提案された。

 新華社通信によれば、習近平は「中日は隣国同士であり、アジアと世界の主要な経済体だ。中日関係の安定的発展は双方の利益に合致しており、地域と世界に重要な影響を与える。双方、両国人民の根本利益から出発して、有利な条件を積み重ねて、中日関係を引き続き改善していきましょう」と語ったとか。

 さらに「中日関係の改善は相互信頼が鍵となる」として日本に対し「実際の行動と具体的成果で中日のパートナーシップを体現し、ともに脅威をつくらないという戦略的共通認識を持ってほしい」と呼びかけた。また、習近平は台湾問題および歴史問題にについて「中日の四つの政治文書に基づいて、双方がすでに合意している共通認識を持ち続けて、両国に存在する意見の対立については建設的で妥当な方法でコントロールしていこう」と語った。

 確かに、以前の木で鼻をくくったような習近平の態度はずいぶん変わってきているようだ。ただ、安倍からは日中平和友好条約40周年に合わせて、来年の相互訪問を提案したが、習近平は明確な回答は避けている。

コメント23件コメント/レビュー

中国が日本にいい顔をするときは自国内の引き締め,米国との緊張関係の2点だろう。中国の目下の課題は国内経済の安定化,成長の巡航速度化(中~低成長)への対応だ。国軍の把握のために尖閣問題や南シナ海問題を利用したが,現在のトランプの米国との関係にはこのカードはリスクが大きすぎる。そこで,一体一路の「一路」に重点を置いた経済政策を推進することで国内の引き締め,内陸部開発の促進とそれを通じた農村民の不満の軽減を見ていると想像する。結局トランプのアメリカとのタイトな関係が習近平の「(苦い)ほほえみ」を引き出したといえるだろう。少なくとも,この外交方針が中短期(3年んから5年程度)で見れば有効だということだ。それより長いレンジではTPPやAIIBなどをいかに活用して,「共栄する未来」を描けるかが日本外交の眼目になるのではないか。そして日本外交のコアは「米国および中国」との関係だということだ。この2か国を両にらみで対応しなければ日本外交は成り立たない。そのためにもロシア,インド,カナダ,メキシコ,欧州,TPP諸国,アセアン各国との関係をどう構築していくか。2国間主義は日本にはおそらく不利だ。その意味で,TPPをいかに活用するか。これをリードするか。さらには,その理念の中で,いかにして共存・共栄の世界モデルを築いていけるかが重要だと思う。横の連携をいかに作るか。縦横に神経を配れる外交官が必要な時代だ。(2017/11/21 10:31)

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「日中首脳会談「習近平の笑顔」の狙いは?」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

中国が日本にいい顔をするときは自国内の引き締め,米国との緊張関係の2点だろう。中国の目下の課題は国内経済の安定化,成長の巡航速度化(中~低成長)への対応だ。国軍の把握のために尖閣問題や南シナ海問題を利用したが,現在のトランプの米国との関係にはこのカードはリスクが大きすぎる。そこで,一体一路の「一路」に重点を置いた経済政策を推進することで国内の引き締め,内陸部開発の促進とそれを通じた農村民の不満の軽減を見ていると想像する。結局トランプのアメリカとのタイトな関係が習近平の「(苦い)ほほえみ」を引き出したといえるだろう。少なくとも,この外交方針が中短期(3年んから5年程度)で見れば有効だということだ。それより長いレンジではTPPやAIIBなどをいかに活用して,「共栄する未来」を描けるかが日本外交の眼目になるのではないか。そして日本外交のコアは「米国および中国」との関係だということだ。この2か国を両にらみで対応しなければ日本外交は成り立たない。そのためにもロシア,インド,カナダ,メキシコ,欧州,TPP諸国,アセアン各国との関係をどう構築していくか。2国間主義は日本にはおそらく不利だ。その意味で,TPPをいかに活用するか。これをリードするか。さらには,その理念の中で,いかにして共存・共栄の世界モデルを築いていけるかが重要だと思う。横の連携をいかに作るか。縦横に神経を配れる外交官が必要な時代だ。(2017/11/21 10:31)

失礼ながら、今回の記事はあまり大したことがないと思う。
中国のすべての行動は、内政上の問題から適宜必要とされるもの、というもの以前から言われていること。

彼らに一貫性があるとしたら、それは共産党の一党独裁だけは派閥を超越してでも守り抜くというところではないだろうか。(2017/11/17 19:02)

歴史的にみて、根本的な所では日本人は中国大陸と朝鮮半島の民族とは永遠に深い信頼関係は築けないと言う事です。これは聖徳太子から福沢諭吉に至るまで、日本の重鎮たる先人は認識していた事です。理由はあまりにも基本的な思考、行動原理が違い過ぎて、ほぼ対極に有る事です。現在、若い世代中心に殆どの日本人は彼らに対して、尊敬、羨望、友好等の思いは殆どなく、表向きだけ付き合っていれば良い位にしか思っていません。こちらから積極的に関りたいとは思っていません。これ以外のアジアに国々には理解し合える思考があるので、台湾からアセアン、インド等の人々と付き合って信頼関係を構築して行けば良いかと思います。(2017/11/16 11:53)

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