なぜ中国はジンバブエのクーデターを黙認したか

習近平のメンツ潰したムガベ辞任、「植民地化」の行方は?

  • 福島 香織
  • 2017年11月29日
ムガベ前大統領と習近平主席、持ちつ持たれつの関係は終わりを迎えた。写真は2014年(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 ジンバブエで軍事クーデターが起こり、37年にわたり政権の座にあった独裁者・ムガベが大統領を辞任。元第一副大統領のムナンガグワが新大統領に就任した。この事件の背後で中国が関与していたのではないか、という憶測がCNNなどで流れた。証拠はあがっていない。クーデター前に国軍司令官が訪中しており、ムガベ排除について、中国の了解をとっていたのではないか、というあくまで憶測である。だが、習近平が24日にムナンガグワにすぐさま祝電を送っているのをみると、ひょっとすると、という気にさせられる。

 ムガベは中国がその独立運動を軍事的に支援して政権の座につけただけに、特に親密な関係を続けてきた。ムガベ自身が毛沢東思想に傾倒し、中国共産党の古き良き友を自任していたはずだ。そのムガベ失脚に対して、ほとんど反応せず、ムナンガグワに祝辞とは。

 習近平は「中国とジンバブエは良き友であり、良きパートナーであり、良き兄弟である。両国関係は時間と国際情勢の移ろいやすさの試練を耐えてきた。中国側はジンバブエとの伝統的友誼を大切なものとみて、両国関係および各領域における協力の継続が前向きに発展し、両国と両国人民がさらに幸福となるよう、ジンバブエとともに一路努力していくことを願う」とムナンガグワに強い友誼関係を約束したのである。

 憶測は憶測でしかないのだが、少なくとも、この政変、中国にとっては好都合、ということではないだろうか。

 では、なぜ中国は親密であったムガベ政権に対してかくも、態度が冷ややかなのか。中国とジンバブエの関係はどうなるのか、ちょっと考えてみようと思う。

「妥当に処理することを望む」

 中国側の公式反応だが、中国外交部報道官は定例記者会見でジンバブエのクーデター発生時に、次のようにコメントした。

 「ジンバブエは友好国であり、我々はジンバブエ情勢がどのように発展していくか注視している。ジンバブエが平和的安定発展を維持することが、ジンバブエ国家の根本利益であり国際社会の普遍的な期待である。我々はジンバブエの関係当局が内政問題を妥当に処理することを望んでいる」

 実にあっさりしたものである。このとき、ある記者は、ジンバブエの元ナンバー2であり、11月6日にムガベから突如副大統領職を解任されたムナンガグワが中国に脱出しているとジンバブエ紙が報道したことについて、真偽を問うて、報道官は「彼は中国に来たことがない」と完全否定していた。実際は、ムナンガグワは南アフリカに亡命していたのだが、中国には疑われるだけの背景があったということだ。

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