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ギリシャがユーロ圏から離脱する4つのシナリオ

欧州金融クライシス(前編)

2015年7月2日(木)

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銀行に殺到した年金生活者たち。ギリシャ政府は、年金生活者が現金を引き出せるよう銀行に命じた(写真=AP/アフロ)

 2015年6月30日、23時59分。その後、時計の秒針が文字盤を一回りして、日付が7月1日に変わった。

 この瞬間、2009年末以来続いてきたギリシャ債務危機は、全く新しい局面を迎えた。ギリシャ政府は、6月30日が支払期限だった国際通貨基金(IMF)に対する債務16億ユーロ(約2200億円)を返済できなかった。ギリシャは事実上「支払い不能状態」に陥ったのだ。

 欧州連合(EU)が約5年間にわたり実施してきたギリシャ救済プロジェクトは失敗に終わった。ユーロ圏は「加盟国の脱落」の可能性に初めて直面し、1999年の創設以来最大の危機を迎えている。

欧州の先進国として初の支払い遅延

 ただしギリシャはIMFから、公式に債務不履行(デフォルト)国の烙印を押されたわけではない。格付け会社は、ギリシャが支払期日を守れなくても直ちにデフォルトを宣言することはない、との方針を発表している。

 だがギリシャが楽観することはできない。ギリシャが債務を期日通りに返済しなかったことで、IMFは同国を「債務支払い遅延状態(IMFの専門用語でin arrears)」国に指定する。この時点からIMFはギリシャに対する新規の融資を一切行わなくなる。

コメント10件コメント/レビュー

ギリシャの通貨政策については筆者の見方に同意する。中央銀行がいきなり通貨発行に走るかどうかは別にしても、ギリシャ政府はすでに支払い余力がない。このまま資金援助が得られなければ、年金や公務員給与の支払いに政府証券を発行せざるをえない。政府証券は、発行当初は価値が不安定になるかもしれない。しかし、貨幣原則に従ってギリシャ人はユーロ支払より政府証券支払いを好むようになるだろうから、政府が証券支払いを続ける限り、その流通量は増え続ける。流通量が増せばそのうちユーロとの間の交換比率も落ち着く可能性が高い。結果として、これが事実上のギリシャ独自通貨になるだろう。名目上も通貨にするには中銀が新ドラクマでこの政府証券を買い入れればいいだけだが、これはあまり本質ではない。本質的に重要なのは、この過程でギリシャ当局が信用を保てるかどうかである。具体的には、国会議員・高位当局者の給与と大口公共事業の支払いを政府証券によって行い、政府証券による納税を認め、逆に貿易決済、特に生活必需品の貿易決済に国内のユーロを優先的に回すようになれば、ギリシャの実質二重通貨体制もそれなりに機能するんじゃないかと思う。産業育成のため、EUからのものを含めて輸入品に関税をかけることは認めさせたいところだが。当然、関税はユーロ建てである。逆に、政府が租税等でユーロを抱え込んでそれを一部の有力者が吸い上げるなら、早晩国家のすべてが崩壊する恐れさえある。(三諸)(2015/07/02 12:17)

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「ギリシャがユーロ圏から離脱する4つのシナリオ」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ギリシャの通貨政策については筆者の見方に同意する。中央銀行がいきなり通貨発行に走るかどうかは別にしても、ギリシャ政府はすでに支払い余力がない。このまま資金援助が得られなければ、年金や公務員給与の支払いに政府証券を発行せざるをえない。政府証券は、発行当初は価値が不安定になるかもしれない。しかし、貨幣原則に従ってギリシャ人はユーロ支払より政府証券支払いを好むようになるだろうから、政府が証券支払いを続ける限り、その流通量は増え続ける。流通量が増せばそのうちユーロとの間の交換比率も落ち着く可能性が高い。結果として、これが事実上のギリシャ独自通貨になるだろう。名目上も通貨にするには中銀が新ドラクマでこの政府証券を買い入れればいいだけだが、これはあまり本質ではない。本質的に重要なのは、この過程でギリシャ当局が信用を保てるかどうかである。具体的には、国会議員・高位当局者の給与と大口公共事業の支払いを政府証券によって行い、政府証券による納税を認め、逆に貿易決済、特に生活必需品の貿易決済に国内のユーロを優先的に回すようになれば、ギリシャの実質二重通貨体制もそれなりに機能するんじゃないかと思う。産業育成のため、EUからのものを含めて輸入品に関税をかけることは認めさせたいところだが。当然、関税はユーロ建てである。逆に、政府が租税等でユーロを抱え込んでそれを一部の有力者が吸い上げるなら、早晩国家のすべてが崩壊する恐れさえある。(三諸)(2015/07/02 12:17)

また、ユーロ安でドイツは笑いが止まりません。
一刻も早くマルク復活を望みます。(2015/07/02 12:03)

現政権は「借金棒引き」という無謀な公約を掲げて選挙に勝利した。その政府の選択肢は、「一方的にドラクマを発行して流通させユーロとドラクマが共存」、というのが流れに合っている。借りた金は大幅割引しろ、更に追加の融資をしろでは、穏健な関係者も腹の立つ事だろう。私も個人的にはギリシャには何の利害関係もないので、完全に第三者なのだが、客観的に見ても現政権には債権国に対する誠意が全く見られず、ドイツ等の先進国の被害者を演じていた。EU内でドイツが大きな域内市場を足場に有利な展開をしているのに対して、ギリシャは遅れをとっている。EUは従来の自由経済圏の枠を超えた、新しい共同体であり、通貨のユーロまで共通化すると、今までの「国」に近い存在になる。現に議会も大統領に相当する欧州理事会議長も存在している。一体化を更に推進する計画もある様だ。この歴史的な「実験」が成功するためには、今後も様々な苦難を乗り越えていかなければ理想の共同体は実現できない。ギリシャ問題はその意味からも適度な「例題」と言える。(2015/07/02 10:19)

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三品 和広 神戸大学教授