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過酷な緊縮策が生んだギリシャのモンスター政権

欧州金融クライシス(後編)

2015年7月3日(金)

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ドイツのメルケル首相とギリシャのチプラス首相。2人が握手する日は再び来るのか。(写真=Sean Gallup/Getty Images)

 さて、ユーロ圏脱退に関する法的な交渉にも増して泥沼化すると予想されるのが、債権国とギリシャの間の債務をめぐる交渉だ。

 これまで欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)はギリシャを救うために、天文学的な額を同国に貸してきた。2010年5月と2012年3月の2回にわたった準備した救済パッケージの資金枠は2709億ユーロ(37兆9260億円)に達する。このうち2157億ユーロ(30兆1980億円)がすでに融資として支払われている。

債権交渉の泥沼

 債権国は2157億ユーロのうちどれだけを回収できるかについて、ギリシャ政府と交渉することになる。過去の国家破綻の例を見ると、債権国はすでに貸した金の大半を失うことになりそうだ。

 たとえば2001年にアルゼンチンが債務不履行(デフォルト)に陥った。この時は、2005年と2012年に債務の一部減免が行われた。しかし債務返還をめぐる訴訟は、デフォルトから14年経った今も続いている。アルゼンチンに対する債権の約70%は、回収不能となった。

 ミュンヘンのIFO経済研究所で所長を務めるズィンは、「ギリシャがデフォルトしユーロ圏を離脱した場合、ドイツが失う債権の額は最大870億ユーロ(約12兆1800億円)に達する」と予測している。これは2014年のドイツ連邦政府の予算額(2965億ユーロ)の約29%に当たる。

 2010年にEUは、ギリシャの財政状態を改善するために、1070億ユーロの債権を減免した。金融業界で「ヘアカット」と呼ばれるこの借金棒引きにより、銀行や保険会社など民間の投資家が日本円で14兆9800億円のカネを失った。これに対し、今回のギリシャのデフォルトによって損害を受けるのは各国政府、そして納税者である。ギリシャ危機の被害がいよいよ庶民にまで及ぶ。

ギリシャの債務比率の推移
(累積公的債務残高の対GDP比率)
2012年の債務減免にも関わらず、ギリシャの債務比率は増加した。(資料:欧州連合統計局)
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「過酷な緊縮策が生んだギリシャのモンスター政権」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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