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難民問題に臨んでメルケル首相が行なった歴史的決断

「モラルと倫理の政治」は、ドイツと英仏間の格差を歴然とさせた

2015年9月10日(木)

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 2015年9月5日は、欧州の歴史を大きく塗り替える日となるだろう。この日の早朝、独首相のアンゲラ・メルケルは、隣国オーストリアとともに、ハンガリーで足止めを食っていたシリアやアフガニスタンなどからの難民を入国させる方針を発表したのだ。

戦後最大の難民危機

 現在欧州で起きている難民流入は、第二次世界大戦後、最大の規模に達する。ドイツのきっぱりとした態度は、難民の受け入れに消極的だった英仏、東欧諸国とは際立った対照を見せた。その背景には、ドイツが多数の難民を受け入れることによって生じる困難を自覚しながらも、欧州連合(EU)のリーダー国としての道義的責任を果たすことを世界に示す狙いがあった。EU内部の力学が大きく変わり、ドイツの比重が高まることは間違いない。

異国でゼロからスタートする難民たちの行方には、多くの苦難が待っている(ミュンヘン駅前にて、筆者撮影)

 9月5日と6日の週末だけで、ミュンヘン中央駅には約2万人の難民が到着した。ウィーンやブダペストからの列車が着くたびに、リュックを背負った難民たちがプラットフォームを埋める。女性たちの多くは、スカーフで髪の毛を隠している。

 彼らは警官隊に守られながら、駅の北側の難民受け入れゾーンに進む。ミュンヘン駅の北側のアルヌルフ通りに面したタクシーのたまり場には、災害時に被害者の救助にあたる援助組織の大きなテントが6個設置された。難民たちは、まずこのテントの中で名前などを登録し、ドイツ国内の宿泊施設に振り分けられる。彼らの手首には、番号が書かれた、蛍光色の紙の輪が付けられる。

仮設テントの中で登録を済ませた難民たち(ミュンヘン駅前にて、筆者撮影)

 受け入れゾーンの外側には、数百人のミュンヘン市民が集まっている。彼らは、長旅で疲れ切ったシリア人たちを拍手で迎えた。「難民の皆さんを歓迎します」というプラカードが見える。飲料水や食べ物が配られる。花束を持ったドイツ人のお年寄りもいる。母親に手をひかれた子どもに、ドイツ人がチョコレートや玩具を渡す。

ミュンヘン駅に到着した、難民の子どもの笑顔(筆者撮影)

 ドイツ人から玩具をもらった5歳くらいの少女は、嬉しそうな表情で飛び跳ねていた。柵越しに、難民の子どもを抱きしめる市民がいた。人々の顔に微笑みが戻ってきた。しわくちゃになったメルケルの写真を掲げたり、手をハートの形にしたりして、感謝の気持ちを示す難民がいた。ドイツ人の拍手に対して、手を振って応える難民もいる。

ミュンヘン市民から玩具をもらって、少女の顔に微笑みが戻った(ミュンヘン駅前にて、筆者撮影)

ミュンヘン駅に到着した難民の家族は、市民の歓呼に笑顔で答えた(ミュンヘン駅前にて、筆者撮影)

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「難民問題に臨んでメルケル首相が行なった歴史的決断」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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