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独の環境団体「VW不正は氷山の一角」と主張

欧州産業史上、最悪のスキャンダルがもたらす余波(後編)

2015年10月8日(木)

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 フォルクスワーゲン(VW)は、1937年にナチスが「国民車」を製造させるために設立した国営企業だった。第二次世界大戦中には、航空機のエンジンや軍用車を製造することによって、ナチス体制を支援した。

行政にも重大な責任

 現在でもニーダーザクセン州政府が株式の12.7%を保有し、同州の首相が監査役会のメンバーとなっている。その意味では、純粋な民間企業ではなく、公営企業の性格を持った巨大企業である。さらに、同社はドイツの歴代の政権とも極めて太いパイプを持ち、政治的な影響力が最も大きい企業だ。たとえばゲアハルト・シュレーダー氏もニーダーザクセン州の首相だった時、VWの監査役を務めたことがある。その意味で、今回のスキャンダルをめぐって監査役会に入っているニーダーザクセン州政府の責任も問われるに違いない。

 ドイツでは、野党や環境団体から「連邦交通省や陸運局は何をしていたのか」という批判が高まっている。

 環境政党・緑の党のベアベル・ヘーン議員は、「ドイツ連邦政府は、排気ガス規制について自動車業界を擁護することによって、市民が健康を害するのを傍観してきた」とメルケル政権の態度を批判している。

 消費者保護団体であるドイツ消費者センター連合会(VZBV)会長のクラウス・ミュラー氏は、「行政当局が、排ガス規制が守られているかどうかを点検せず、環境と市民の健康に被害を与えていたことは、大問題だ」と指摘する。彼によると、消費者は今回の不正によって二重の詐欺被害にあっている。まず消費者は、「環境への悪影響が少ない車を買おう」と思って、クリーン・ディーゼルの車を選んだのに、期待を裏切られた。さらに、ドイツの車の品質は高いと信じて、お金を払っているのに、その期待も裏切られたというわけだ。

環境団体は「氷山の一角」と批判

 排ガス不正のもう1つの焦点は、VW以外のメーカーに飛び火するか否かである。ドイツの環境団体は、数年前から「ドイツの自動車の中には、窒素酸化物の実測値が規制値を大幅に上回る物がある」と主張してきた。ベルリンの環境団体「ドイツ環境援助機関(Deutsche Umwelthilfe=DUH)で代表を務めるユルゲン・レッシュ氏は、9月24日に発表した声明の中で、「VW以外のドイツの自動車メーカーも、排ガスに関するデータを操作している可能性がある」と述べ、これらの会社に対し、9月25日の午後3時までに排気ガスの値を試験の際に低く抑える処理を行っている車のリストを公開するよう要求した。

 これに対して他の自動車メーカーは、「当社では排ガスデータ捏造の事実は一切ない」と疑惑を全面的に否定。「DUHが、当社でもデータの捏造が行われているかのような印象を与える情報を公開し続ける場合には、法的措置も辞さない」という声明を発表している。

 現時点では、VWグループに属する企業以外のメーカーが不正ソフトを使用していたという事実は、確認されていない。

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「独の環境団体「VW不正は氷山の一角」と主張」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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