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パリ同時多発テロは欧州の9・11事件だ

欧州はシリアへの地上軍派遣を決断するか

2015年11月18日(水)

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 2015年11月13日金曜日。この日付は、欧州で永遠に記憶されるに違いない。テロ組織イスラム国(IS)がパリで実行した同時多発テロは、第二次世界大戦後、欧州が直面した最大の危機である。2001年9月11日にアルカイダがニューヨークとワシントンDCで実行した同時多発テロは、米国を大きく変質させた。11月13日事件も、欧州を大きく変えることになる。フランスと欧州諸国は、今後地上部隊をシリアに派遣することも視野に入れながら、軍事手段によるISの制圧をめざすだろう。

パリの共和国広場で犠牲者に哀悼の意を捧げる市民(写真:ロイター/アフロ)

パリの虐殺

 今回の事件の特徴は、犯行の無差別性、残忍性である。パリでは、今年1月にもイスラム系のテロリストが風刺週刊新聞「シャルリ・エブド」の編集部とユダヤ系のスーパーマーケットを襲撃し、イラストレーター、ユダヤ系市民ら17人を殺害した。この事件はフランスだけでなく全世界を震撼させたが、犯人たちが狙ったのは、預言者ムハンマドの風刺画を掲載した新聞で働く人々と、ユダヤ人だった。

 だが今回のテロは1月の事件とは本質的に違う。殺戮の規模は1月のテロを大幅に上回った。死者数は11月16日現在で129人にのぼり、352人が重軽傷を負った。負傷者のうち約90人が重体である。

 8人のテロリストたち(1人はまだ逃走中)は、週末を前にレストランで夕食を楽しんでいた多くのパリっ子や観光客、ロックコンサートの会場にいた若者たちを無差別に虐殺した。犠牲者たちは、預言者ムハンマドを冒とくしたわけではない。

 つまり犯人にとって、殺す相手は誰でもよかった。彼らはこの夜パリにいた市民を1人でも多く殺傷し、社会を恐怖に陥れることを目標としていた。警察官やガードマンに全く守られていないソフト・ターゲットをあえて狙ったのだ。その意味で、今回の事件は、西欧におけるイスラム過激派のテロが、新たな段階にエスカレートしたことを意味する。フランス人たちが抱いている不安感・絶望感は、1月のシャルリ・エブド襲撃事件の時よりも、はるかに大きい。

 フランス政府が1月のシャルリ・エブド襲撃事件の時とは異なり、事件発生直後に非常事態宣言を行ったことは、テロの脅威がいかに大きかったかを示している。この宣言によって政府は、集会の自由を制限したり、裁判所の令状なしに家宅捜査を行ったりすることができるほか、市民に外出禁止を命じることもできる。市民権の制限が始まったのである。

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「パリ同時多発テロは欧州の9・11事件だ」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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