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トランプの大統領就任とNATOの運命

2016年12月8日(木)

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NATOの演習に参加する東欧諸国の兵士たち(写真:熊谷 徹)

世界最大の軍事同盟を覆う憂鬱

 ブリュッセルの北東部に車を走らせると、世界最大の軍事同盟・北大西洋条約機構(NATO)の巨大な本部が目に飛び込んでくる。

 米国を盟主とするNATOは、ソ連の脅威に対抗するため1949年に創設された。その本部は当初ロンドン、そしてパリに置かれたが、1967年にブリュッセルに移転。約半世紀にわたり使用したブリュッセル本部の建物が老朽化したため、NATOは2010年、隣接した敷地に新しい本部ビルを建設する工事を開始した。この建物は今年ほぼ完成し、2017年初めに移転作業が始まる。

 旧本部は実用性だけを重視した、四角いコンクリートの箱を並べたような、地味な灰色の建物だった。これとは対照的に新しい本部ビルは、曲線とガラスの壁を多用し、近代的で軽快な印象を与える。

 NATOは、「新しいビルは、未来を念頭に置いてデザインされた。目まぐるしく変化するNATOの任務に対応するために、オフィス・スペースの柔軟性を重視し、最新の情報通信システムを導入した。1960年代には加盟国が15カ国だったが、今では28カ国と大幅に増えたので、新しいビルが必要になった」と説明している。

 約4000人が働く本部棟の総面積は25万4000平方メートル。6年間の建設工事にかかった費用は、11億ユーロ(約1320億円)にのぼる。

 NATOの事務総長イェンス・ストルテンベルグ(57歳)は、ノルウェー人。2014年からNATOの事務方トップの座にある。1993年にノルウェー議会の議員に当選して以来、23年にわたり政治家としての道を歩み、首相や財務大臣を務めたこともあるベテラン政治家だ。ストルテンベルグ、そしてNATOの職員たちにとって、2017年は、新しい本部棟での勤務を始める記念すべき年となるはずだった。

 だが最近、ストルテンベルグの表情は冴えない。こめかみに白髪が目立つストルテンベルグは、記者団の前でも時折中空に視線を泳がせ、不安に耐えているような顔つきを見せる。今ブリュッセルのNATO本部は、緊張した空気に包まれている。

NATOに批判的な初めての大統領

 その理由は、共和党の異端児ドナルド・トランプが大統領選挙に勝利し、第45代米大統領として2017年にホワイトハウス入りすることが決まったからだ。「アメリカ・ファースト」を旗印とするトランプは、選挙戦の期間中に、NATOに対する批判的な発言を繰り返した。NATOは、TPP(環太平洋経済連携協定)とともに、トランプが最も頻繁に槍玉に挙げる、国際的な枠組みとなった。

 NATOの最大の任務は、ソ連を頂点とする軍事同盟・ワルシャワ条約機構軍を抑止することだった。NATOは、圧倒的な地上兵力を持つワルシャワ条約機構軍が西欧に侵攻し、この攻勢を通常兵力で支えきれなくなった場合、米国の核兵器で反撃することになっていた。このため、NATOの軍事部門の最高司令官のポストには、必ず米軍の将軍か提督が就任する。

コメント8件コメント/レビュー

ロシアは2002年5月に結成したNATOロシア理事会によって準加盟国扱いだったのですけど…
NATOの身から出た錆ですね。ロシアを見下してウクライナ問題などで協定違反をしているから、しっぺ返しを食うのです。

シリア問題だって、独裁でもそこそこ豊かに暮らしていた国に、欧米流の民主主義を押し付けようとアラブの春をあおった結果、シリア国民に塗炭の苦しみを与え、数百万人にのぼる難民を生み出しました。難民が押し寄せたヨーロッパは自業自得ですね。(2016/12/08 23:47)

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「トランプの大統領就任とNATOの運命」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ロシアは2002年5月に結成したNATOロシア理事会によって準加盟国扱いだったのですけど…
NATOの身から出た錆ですね。ロシアを見下してウクライナ問題などで協定違反をしているから、しっぺ返しを食うのです。

シリア問題だって、独裁でもそこそこ豊かに暮らしていた国に、欧米流の民主主義を押し付けようとアラブの春をあおった結果、シリア国民に塗炭の苦しみを与え、数百万人にのぼる難民を生み出しました。難民が押し寄せたヨーロッパは自業自得ですね。(2016/12/08 23:47)

欧州諸国は「GDP比2%の防衛費」という要求を受け入れるのだろうか。NATOと同様に米国との同盟で安全を担保してきた日本も「2%」を求められるとすると早速5兆円近い「防衛費」の増額が必要になる。1機300億円の戦闘機を100機で3兆円これを10年計画で導入するなら単年度3000億円にしかならない。1隻800億円の潜水艦を30隻で2兆4千億円これも10年計画なら単年度で2400億円にしかならない。結局「空母」となる。3隻導入するとしておよそ10兆円偽装や艦載機等が7兆円とするとしめて17兆円10年計画なら単年度1.7兆円(ただし年間の運用経費が3兆円で5兆円を超える。空母は2隻にしたほうがよいかも)。さらに護衛用イージス艦を15隻で約9兆円,10年計画で9000億円。ここまでで4兆円。あと1兆円をどうするか…とんでもない軍事大国になる。周りを軍事超大国に囲まれているから仕方ないかもしれないが,一体どこに侵略に行くのだろう。この国の国是は一体どこに消えるのだろう。まさかアメリカを「侵略」しようとはしないだろうが,当然アメリカは日本を仮想敵国にしている。アメリカも軍備拡大を余儀なくされる。誰も得をしない。(武器商人以外は…)トランプ政権がこのことに気付いてくれるとありがたいのだが…(2016/12/08 18:07)

ロシアがバルト3国に軍事侵攻するという、根拠のない記述を掲載していると、来る日露首脳会談の障害(足を引っ張る原因)になります。ロシアは日本メディアの情報も常にチェックしていますから、日本経済新聞社が日露首脳会談をぶち壊したいのであれば、ご自由にどうぞ。

クリミアの場合は、大半の順人がロシア系で、住民投票の圧倒的多数意志とロシア軍基地の2つの要因があり、ロシアは、クリミア半島を併合しました。

バルト三国には、ロシア人はどの程度の割合で存在し、ロシア軍基地はあるのでしょうか?(2016/12/08 15:06)

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三品 和広 神戸大学教授