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国内初の「フィンテックファンド」は成功するか

金融ベンチャーに課せられた高いハードル

2016年1月7日(木)

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 IT(情報技術)を活用して新しい金融サービスを生み出そうとする「フィンテック」と呼ばれる領域に、ベンチャー企業の成長を促す資金が流れ込んでいる。

 SBIホールディングスの子会社で投資事業を手掛けるSBIインベストメントは昨年12月、フィンテック分野の有望ベンチャーに投資する「FinTechファンド」を設立したと発表した。「フィンテックに特化したファンドは日本初」(SBIインベストメントの後藤健取締役)という。出資者にはソフトバンクなど事業会社のほか、横浜銀行やソニーフィナンシャルホールディングスなど地方銀行、ネット銀行の主要プレーヤーも顔を並べた。通信大手KDDIも2014年に設立した50億円規模のファンドで、フィンテック関連ベンチャーへの投資拡大を検討しているという。

 もっとも、日本ではまだフィンテック分野で急成長しているベンチャー企業は多くない。従来のインターネット関連分野と比べ、フィンテックではベンチャーが超えるべきハードルが数多くある。これを乗り越えられなければ、フィンテック分野への資金集中は一時のバブルで終わってしまう恐れもある。

少数のベンチャーに投資集中

 SBIが設立したFinTechファンドは設立発表から6日後の28日には第一弾の投資案件を発表している。対象はクラウド型の会計ソフトを手掛けるfreee(東京都品川区)。簿記や会計の専門知識がなくても経費の処理から決算書類の作成まで、ほぼ自動でできるサービスを展開。中小企業を中心に利用が急増しているという。米グーグル出身の佐々木大輔社長が2012年に設立した。同社は昨年8月にも米大手ベンチャーキャピタルやリクルートホールディングスなどから35億円の出資を受けており、2015年中に総額45億円の資金を調達するのに成功している。

SBIインベストメントのFinTechファンドが出資したベンチャー企業、freeeの佐々木大輔社長

 昨年はfreeeに加えてクラウド会計サービスを手掛けるマネーフォワードも地方銀行などから計16億円を調達するなど、有望なフィンテックベンチャーに投資資金が集中する傾向が顕著だった。

 むしろ課題は「投資資金はジャブジャブに集まっているが、投資先がない」ことだと多くの業界関係者が指摘する。SBIインベストメントの後藤取締役も「(フィンテック関連企業は)日本で100社あるかないか程度で、まだ少ない」と認める。

 フィンテック領域はネットベンチャーが手掛けるには課題が多い領域だ。たとえばスマートフォン向けゲームでは、サービスの一部に不備があったり、バグ(プログラムに含まれる誤りや不具合)があったりしても、後からユーザーの指摘を受けながら改善していくことができる。一方、消費者の大事な資産である「お金」を扱うフィンテックでは、こうしたミスやバグを残したままサービス展開することは基本的に許されない。スピードよりも完成度が重視されるため、ベンチャー企業の強みである「スピーディーな事業展開」が実現しにくいという課題がある。

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「国内初の「フィンテックファンド」は成功するか」の著者

飯山 辰之介

飯山 辰之介(いいやま・しんのすけ)

日経ビジネス記者

2008年に日経BP社に入社。日経ビジネス編集部で製造業や流通業などを担当。2013年、日本経済新聞社に出向。証券部でネット、ノンバンク関連企業を担当。2015年4月に日経ビジネスに復帰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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